筋肉や皮膚への物理刺激によって中枢神経系(脳の構造や神経伝達物質)が再編成されるとする「姿勢・構造・生体力学モデル」や「鍼灸による脳可塑性向上説」は、ヒトの臨床研究において再現性が得られていません。
近年のTMS(磁気刺激)研究やBDNF(神経可塑性マーカー)の追跡調査では、動物実験のデータをそのままヒトに適用することの限界と、厳格なシャム対照試験における固有効果の欠如が明確に示されています。
以下に挙げる4つの文献は、従来モデルの限界とヒト臨床データの現実を示す客観的エビデンスです。
17. Kim, J. H. et al. Acupuncture for depression: A systematic review of randomized controlled trials with sham control. 2017.
要約・限界: 厳格なシャム対照試験のみを抽出したメタアナリシスの結果、鍼が脳の器質や精神症状に固有の可塑性的治療効果を及ぼす証拠は得られなかった。
18. Lederman, E. 論文名: The fall of the postural-structural-biomechanical model in manual therapy - Explaining the clinical outcomes. 2015.
要約・限界: 手技による物理刺激が脳の神経マップや可塑性を変えるという仮説は、一時的なリラックス等の臨床効果を説明するための都合の良い拡大解釈に過ぎないと指摘。
19. Lindquist, L. et al. Does acupuncture alter BDNF levels in depressed humans? A failed replication study. 2014.
要約・限界: 動物実験で主張されていた「鍼によるBDNF(神経可塑性マーカー)の上昇」が、人間のうつ病患者を対象とした臨床試験では全く再現されなかったことを報告。
20. Shafi, M. M. et al. Exploring the limits of peripheral somatic stimulation on cortical plasticity: A TMS study. 2013.
要約・限界: TMS等を用いて末梢の物理刺激が皮質可塑性に与える影響を追跡した結果、生化学的・直接的介入(薬物等)とは異なり、末梢刺激単独による長期的な可塑性誘発には明確な限界があることを提示。
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