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山下整骨院・山下鍼灸院

院長 山下和彦

(鍼灸師、柔道整復師、健康運動指導士) 

脳波測定・心電図測定・呼吸測定・基礎体力測定による体調確認と生活指導

※現在通院中の方でも「上記測定で身体状態のグラフ化と数値化の確認(8,800円)

 当院に来院された45歳女性の症例です。当院を受診されるまでに、11年間もの長きにわたり近所付き合いでの差別などの強い精神的ストレスのために、胃腸障害、不眠、頑固な肩こり、頭痛といった複数の自律神経症状・体調不良が続いていました。

 これまで総合内科、胃腸科、心療内科といった医療機関をはじめ、複数の鍼灸院や整体院を渡り歩いてこられましたが、症状は全く不変のままでした。当院のホームページをご覧になり、ご主人とともに来院された症例です。

 最初はご相談のみの予定でしたが、お話を進める中で当院の検査を希望され、検査結果をお伝えしたところ、ご主人の勧めもあって初回施術を実施することになりました。

 11年分の苦しみや不満は山のように積み重なっており、問診だけで1時間を超え、精密な検査と結果説明で1時間半超。さらに施術、今後の方針、生活管理のアドバイスまで含めると、初回の滞在時間は4時間半を超える異例の長丁場となりました。

 しかし、施術直後には長年続いていたすべての慢性症状が劇的に消失し、患者様は満面の笑顔を取り戻されたのです。

 ここで多くの方は「長年の病気が治った!」と大喜びされます。しかし、私はあえてこう告げました。

「この症状消失は一時的な反応です。ご自宅に帰られてから、どのようなペースで症状が戻り始めるかは分かりません。ですから、いま有頂天になって喜ぶのは避けてください。ただし、11年間続いた症状が初回で消えたということは、組織が破壊された『病気』ではなく、脳や自律神経の『機能低下(不健康)』から来ていた証拠です。今後は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していきますから、焦らず進めましょう」

 1週間後の次回予約をいただき、笑顔でお帰りになりました。

 ところがその2日後、当院に1本の電話が入ります。案の定、患者様からのキャンセル連絡でした。

「やっぱり2日経って症状が戻ってしまいました。友人にも話したのですが、『私はなかなか治りにくいタイプみたいだから』と言われまして……。どうも合わない気がするので、キャンセルさせてください」

 これこそが、慢性症状を抱える方が陥りやすい「脳の過剰興奮と自律神経の乱れによる感覚的評価」の現実です。しょうじょうにたいしてれいせいなはんだんができなくなって、感情的・主観的評価で、なぜ当院で改善したかという施術と施術結果の心電図測定、呼吸測定の評価はどこかに飛んで行ってしまっていました。こうなっては、何を言っても冷静に判断が出来ない状態(前頭前野の弱体による冷静な判断が出来ない)です。

 科学的な機序や生理学的な事実をどれほど説明しても、脳が強いストレスや痛みの記憶に支配されていると、理論的かつ客観的に物事を整理して考えることができなくなってしまいます。こうしたケースは決して珍しくなく、多くの慢性症状患者様に共通する大きなハードルとなっています。症状が中々消失しない大きなストレスを受けている方でも、医師、看護師、会社役員、教師などの多くの方々は、理屈が分かるので、自己の生活習慣を変える指導を素直に実行しようとします。この自己変容こそ、脳の興奮が正常な方向に向くのです。


一般的な鍼灸や整体、マッサージを受けた直後、一時的に体が軽くなったり痛みが消えたりすることはよくあります。

 この「直後の変化」を引き起こす主な生理学的メカニズムが「体性ー自律神経反射」「下行性疼痛抑制系」です。

1. 体性ー自律神経反射

 皮膚や筋肉といった「体性(身体表層)」に物理的刺激(鍼・マッサージなど)を加えると、その情報が脊髄を経由して自律神経系に伝わり、内臓の働きや局所の血流、皮ふ温などが一瞬で変化します。これにより、緊張した筋肉が緩和し、一時的なスッキリ感が生まれます。

2. 下行性疼痛抑制系

 強い刺激や特定の感覚刺激が脳幹に達すると、中脳中心灰白質や延髄網状体を経由して、脳から脊髄に向けて「痛みの伝達をブロックする物質(セロトニンやノルアドレナリン、内因性オピオイドなど)」が放出されます。これによって痛みのシグナルが遮断され、一瞬にして痛みが消えたように感じられます。


一見すると「素晴らしい効果」に思えるこの変化ですが、問題はその「持続時間」にあります。

「物理的な刺激だけで誘発された一時的な抑制効果や血流改善は、数日で元の状態に戻ってしまう」ということは、数多くの神経生理学的研究や論文で立証されています。

要約: 体性刺激が自律神経系に与える影響(体性ー自律神経反射)を検証した金字塔的論文。物理的な刺激による自律神経反応は急速に発生するものの、その効果は一時的な適応反応に過ぎず、刺激の消失とともに神経系は本来の平衡状態(または元の異常興奮状態)へと短期間で回帰することが示されています。

Sato A, Schmidt RF. Somatovisceral reflexes: an inquiry into the central nervous mechanisms and clinical applications. 1973.

要約: 脳から脊髄へ痛みを抑える「下行性疼痛抑制系」の回路とエンドルフィン等の神経物質の機序を解明した研究。外性刺激によって活性化された下行性抑制系は強力な即効性鎮痛をもたらすものの、神経受容体の耐性や神経伝達物質の枯渇により、その持続時間は一時的(数時間から数日程度)であり、痛みの根本原因(脳の記憶や慢性的なストレス回路)が除去されない限り、速やかに元の痛みが再発することが解説されています。

Basbaum AI, Fields HL (1984)Endogenous pain control systems: brainstem spinal pathways and endorphin circuitry. 1984.


今回の患者様のように、11年間という長期間にわたってストレスを受け続けると、脳の「扁桃体」が過剰に興奮し、痛みや不快感を記憶する神経回路が強固に作られてしまいます。

 施術直後に一時的な「下行性疼痛抑制」や「体性ー自律神経反射」で症状が消えたとしても、脳に染み付いた「11年間の慢性ストレス回路」や「自律神経の誤作動」そのものが1回で書き換わるわけではありません。

 物理刺激の効果が数日で薄れるとともに、脳の記憶通りに症状が再び表面化してくるのは、生理学的に極めて正常な経過なのです。

 しかし、脳が過剰警戒を起こしている患者様は、症状が戻った瞬間に「やっぱりダメだった」「自分には合わない」という感情的な感覚評価に支配され、論理的な思考ができなくなって治療を断念してしまいます。

 本当の意味で慢性症状を根本改善するためには、一瞬の物理刺激による「ごまかしの即効性」に一喜一憂するのではなく、脳の過剰興奮を鎮め、自律神経の再教育を「良くなったり悪くなったり」を繰り返しながら粘り強く重ねていくことが必要です。

 当院では、単なる一過性の症状緩和にとどまらず、こうした生理学的・脳科学的な根拠に基づき、患者様が正しい理解と確信を持って回復への道のりを歩めるよう、徹底した検査と指導を行っています。

 全国の遠方から来院する方が増えてきました。

当院の医科学的アプローチを求め、全国(北海道・大阪・鹿児島など)から飛行機や新幹線で来院される方や、片道2時間前後をかけて通われる方(木更津・市川市・成田・鎌倉など)もいます。

 毎週の通院が難しい遠方の方でも、集中して脳と自律神経をリセットできるよう、2つの短期集中プログラムもご用意いたしました。

 ご自身の地域やスケジュールに合わせ、下記の特設ページより詳細をご覧ください。

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