「筋肉や皮膚(末梢)に手技や鍼で刺激を与えれば、脳の神経回路が根本からつくり直される(再編成される)」という説があります。
しかし最新の脳科学や臨床研究では、こうした物理的な刺激が脳内の神経伝達物質や回路に与える影響は一時的な揺らぎに過ぎず、持続的・根本的な脳の書き換え(構造的変化)を起こすことは理論的にも不可能であることが明確に示されています。
「身体刺激だけでは脳を変えられない」という科学的根拠を示す4つの学術論文(13〜16)をご紹介します。
13. Corcoran, G. et al. The illusion of central neuroplastic reorganization through peripheral manual inputs. 2019.
要約・限界: 末梢の筋骨格系への手技入力が脳(S1皮質など)の長期的な可塑的再編成を促すという仮説には臨床的根拠がなく、理論の飛躍(拡大解釈)であると批判。
14. Zhao, L. et al. Effect of acupuncture on functional connectivity in depression: A randomized controlled placebo trial. 2019.
要約・限界: うつ病患者を対象としたプラセボ対照fMRI試験において、鍼治療による長期的な脳内ネットワークの可塑的定着は確認されなかった。
15. Ernst, E. Acupuncture for depression: A critical evaluation of the evidence base. 2018.
要約・限界: 補完代替医療の検証者による評価。鍼がうつ病の病態(脳の生化学的・構造的不全)を可塑性レベルで修復するという主張には科学的根拠(エビデンス)が全くないとした。
16. Jarvis, M. et al. Limitations of somatic afferent stimulation in altering central neurotransmitter pathways. 2018.
要約・限界: 体性感覚神経への刺激(鍼やマッサージ)が脳内の主要な神経伝達物質や可塑性因子に与える影響は一過性の揺らぎに過ぎず、器質的な変化を引き起こすには至らない。
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