整骨院・接骨院の
　　 保険施術に関する誤解

　ケガ（ころぶ、ぶつかる、ひねるなど）で発症する肩こり（肩周囲の筋が動きにくい状態）・腰痛（腰周辺の筋の緊張）の場合は保険適応になります。しかし病気が原因の肩こり（狭心症、胃炎など）・腰痛（子宮筋腫など）又は原因不明の鈍痛・だるさ・違和感の改善は、筋緊張の除去により症状の解消は可能ですが、整骨院・接骨院・ほねつぎでは保険適応になりません（全国共通）。この意味は「内科疾患・癒し・医科との併用」に関する鎮痛は柔道整復師の医療の範疇ではないというのが厚生労働省の見解です。

　日本古来、古武道の達人、柔道の達人たちは稽古で生じたケガを治していました。そこで整形外科医がなかった時代、武道家はケガに対して医師と同等に医療をおこなっていたようです。

　しかし明治になり、政治・経済・医療などすべてにおいて欧米列強に追い付き追い越す為に国の政策が変わりました。また、大東亜戦争で日本が敗戦した際は「マッカーサー禁止令」によって鍼灸・柔整が一時医療から外されました。その後、昭和25年に法令が変わり、今では国家資格として柔道整復師・鍼灸師が一定のルールの中で保険施術を維持しています。

　心臓病でも肩こり、背中の痛みはあります。子宮筋腫でも腰痛はあります。現在の柔道整復師はレントゲンも取り扱いができなくなりました。

　身体に対する軽度の物理的刺激（擦る、撫でる、振動するなど）によりオキシトシンが分泌され、ヒト心臓副交感神経（迷走神経）活動が亢進され、筋緊張の緩和、痛みを緩和についての報告されています。

   整骨院・接骨院でおこなう施術は「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」による「腫れ、発熱、痛み、発赤、機能障害」のみが、無料～30％の自己負担による保険適応になります。これは全国共通のルールなので、最初の問診で「症状の原因が病気ではないこと・慢性症状でないこと・原因不明の症状でないこと・医科と併用でないこと」を確認します。

　しかし、不定愁訴（原因不明の違和感）に対して、最近の整骨院・接骨院では自費施術でおこなっている施設が急増しています。しかし、養成校では自費施術に関しての手技・技術は厚生労働省の定める教育すべき必須内容ではありません。

　疑問・不安な心情もお話しすることは大事なことです。必ず、インフォームドコンセントを受けて頂くことをお勧め致します。

　左のお尻から左太ももの外側に痛みがあり、近隣の整形外科に受診した81歳女性。触診なく、レントゲンなく、問診のみで「坐骨神経痛でしょう。4週間分の湿布を出しますから様子を診て下さい。」ということでした。1週間たっても症状変わらず、紹介で当院に来院された患者さまです。

  電車を使って、自宅の所沢から桜台まで45分ほどで来られたそうです。30～45分位の座位後に立ち上がり動作で同症状があり、「腫れ、熱、しびれ」はありません。「右肩も2週間ほど前から痛みがあるけれど、痛くて何かが出来ないというほど、強い痛みはありません。宜しくお願いします。」という患者さまです。

　上記は保険施術が出来なかった症例です。最大の理由は、湿布を1か月分処方されていることです。保険者（保険証でお金を払う団体）は、整形外科で1か月の湿布で医療を受けていると判断します。したがって、整形外科と整骨院に同一の部位に関する治療・施術を二重に受診することを禁じています。

　一方、「腫れ、熱、しびれ」の無い症状で、筋の緊張からの疼痛が疑われたので運動指導し、その場で疼痛が消失しました。自宅での運動処方をおこない運動ファイルをお渡しし、終了致しました。笑顔でお別れいたしました。