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山下整骨院・山下鍼灸院
体性-自律神経系 生活科学研究所
 

Institute of  Somatic Autonomic Nervous System Life Science

院長 山下和彦 (博士: 生活科学)

大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 客員准教授

体育学学士、教育学修士、柔道整復師、鍼灸師、健康運動指導士

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  自律神経と皮膚皮下組織への刺激

2023年8月28日 更新

皮膚・皮下組織への刺激が自律神経機能に及ぼす影響に関する研究

A study on effects of subcutaneous stimulation on   autonomic nervous function.

〜 ⽬次 〜

第Ⅰ章 緒論

1-1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

1-2 これまでの鍼刺激に関する研究の流れ ・・・・・・・・・・・ 6

1-3 研究の⽬的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

1-4 論⽂の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

⽤語の略語、定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

第Ⅱ章 鍼刺激後の姿勢が⾃律神経機能に及ぼす影響

2-1 ⽬的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

2-2 ⽅法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

2-3 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

2-4 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

2-5 結語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

第Ⅲ章 鍼および鍼管の呼気時・⽪膚刺激が⾃律神経機能に及ぼす影響

3-1 ⽬的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

3-2 ⽅法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

3-3 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42

3-4 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46

3-5 結語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

第Ⅳ章 呼気に同期した刷⽑による⽪膚刺激がヒト⾃律神経機能および⾝体柔軟性機能に及ぼす影響 ―鍼刺激、鍼管刺激との⽐較―

4-1 ⽬的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51

4-2 ⽅法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

4-3 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61

4-4 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66

4-5 結語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

第Ⅴ章 総括   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70

謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78

副論⽂ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79

本論分に直接関係する研究発表 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 80

本論⽂の参考研究論⽂ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82

引⽤⽂献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83 

本論⽂と関連する参考⽂献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92

第Ⅰ章.

緒⾔ 1-1 はじめに 現在の⽇本は少⼦⾼齢化がますます加速し、社会構造の変化が急速に進んで いる。特に社会保障における諸問題は最重要課題であり、⼈⽣ 100 年時代に向 けて健康⻑寿を⽬標に抜本的改⾰を各分野において進めなければならない状況 にある。2002 年に公布された健康増進法を法的基盤として、厚⽣労働省の⾏政 通知として出された健康⽇本 21(第⼆次)(厚⽣労働省, 2013)では、⽣活習 慣および社会環境の改善を通じて、全ての国⺠が希望や⽣きがいを持ち、すこ やかで⼼豊かな⽣活ができる活⼒ある社会を実現し、その結果として、持続的 社会保障制度が可能となるように平成 25 年から 10 年間の計画を推進してい る。そこには治療ではなく、がん、循環器疾患、糖尿病および慢性閉塞性肺疾 患(COPD)による⾮感染性疾患に対処するため、⾷⽣活改善や運動習慣の定 着等による 1 次予防(⽣活習慣の改善による健康増進により、⽣活習慣病を予 防すること)を重点に置いた対策を推進するとともに、合併症の発症ないし症 状の進展等の重症化予防に重点を置いた対策を推進している。また、国⺠の健 康増進の総合的な推進を図るため、計画策定には都道府県健康増進計画および 市町村健康増進計画に基づく留意事項として、都道府県は市町村、医療保険 者、学校保健関係者、産業保健関係者、健康づくりに取り組む企業、⺠間団体等の⼀体的な取組を推進する観点から、都道府県健康増進計画の策定及びこれ らの関係者の連携の強化について中⼼的な役割を果たすことを掲げている。こ うした⽣活環境および社会環境の整備、⾝体内部の環境整備は、⽇本の⾼齢者 労働⼈⼝の確保、⽇本の社会保障費削減にも連動することが考えられる。 明治以前、⽇本の医療・健康に関する主な⼿法は鍼灸および漢⽅であり、経 験による積み重ねにから得られた医療体系であった。しかし、明治維新によ り、⽇本の政治・経済・医療など全ての仕組みにおいて、⻄洋⽂化を基盤とす るパラダイムシフトが起きた。また、戦後⽇本の医療における鍼灸、按摩、マ ッサージ領域は主に専⾨学校による職業訓練校としての位置づけから脱するこ となく、研究機関への転換もしくは発展が進められなかった。しかし、1970 年 代における⽇本の物理刺激としての鍼灸、各種電気治療、温熱、冷却などに関 しては体性−⾃律神経反射による医・科学的検証が⾏われてきた。鍼治療の 医・科学的発展が進まない最⼤の原因は⼼⾝の調和を重視する哲学的理念を体 系化した伝統医療として、定量的評価ではなく、主に定性的評価が中⼼であ り、現代医学・⻄洋医学の思考とは真逆であることが考えられる。 鍼治療の歴史は古く、紀元前 6,000 年頃に鋭利な⽯や⾻による素材を使⽤し ていたことから始まったとされているが、当初は膿瘍穿刺のための器具の⼀つ として⽤いられていた(White et al., 2004)。その後、古代中国哲学を基本思想3 とした治療法として体系づけられていった(Basser et al., 1999)。最近の鍼灸 治療の歴史研究では、中国で紀元前 3,000 年頃に広く⾏われていたが、⽣理学 的機序は確⽴されていなかったと考えられている(Kan-Wen et al., 1992; Edward et al., 2011; Jason et al., 2014)。また、紀元前 200 年頃には中国の⼀般 的な治療法として鍼治療が受け⼊れられ、中国最古の伝統医術書である「⻩帝 内経」が鍼治療の体系化された診断と治療法として確⽴され、現代の鍼治療の 原点と考えられている。⼀⽅、鍼の素材は鋭利な⽯や⾻から銅、鉄、銀、⾦と ⾦属の鍼を⽤いるようになり、現在では衛⽣⾯、安全⾯から鍼の殆どがディス ポーザブルのステンレス製鍼に変わり、鍼の素材または種類によって、複数の 刺鍼法も開発されていった(Lei et al., 2017)。 1950 年初頭、中国国内の政治情勢ならびに⼤東亜戦争の影響から中国経済が 悪化し、物資の不⾜から⿇酔薬の代わりに鍼治療を試みるようになり、伝統的 中国医学と⻄洋医学が融合するきっかけとなった。さらに、1960 年代から 1970 年代には鍼⿇酔の研究が本格化することになった(Dimond et al., 1971)。鍼⿇酔による⼿術は 1958 年に中国で初めて報告され、1970 年頃まで には 26 地域 203 施設で 5 万 7000 件を超える⼿術が⾏われていたと報告されて いる(Jin et al., 2017)。近年の中国では伝統的中国医学と現代的⻄洋医学との 統合に関して、教育、研究、臨床への義務化が進められている(Ilza et al., 4 1973)。さらに、1972 年の⽶国⼤統領の中国訪問がきっかけとなり、鍼⿇酔に よる⼿術および疼痛除去に関する情報が世界に発信され、鍼灸研究は世界規模 に広がった(森, 2014)。 ⽇本においては、6 世紀半ば頃に中国から鍼治療の技術が伝わって来たと考 えられているが、江⼾時代には⽇本独⾃の技術⾰新が誕⽣した。17 世紀の江⼾ 時代前期には、杉⼭和⼀が徳川家綱、綱吉の侍医となり、全国 45 か所に鍼治 講習所を開設し、後進の育成に尽⼒した。⽇本鍼灸における技術⾰新の⼀つ は、細い鍼を細い管(鍼管)を通して刺鍼サポートを⾏うことにより、刺鍼す べき部位に的確に鍼を刺⼊することが可能となったことである(形井, 2012)。 さらに、⼩児、⾼齢者、虚弱者を対象とする場合は、中国独⾃の太い、⻑い鍼 を⾝体に刺⼊せず、鍼が⾝体に接触するだけの⼩児鍼、接触鍼という軽微な⽪ 膚刺激も江⼾時代から鍼治療の範疇に取り⼊れられた(⻑野ら, 2010)。現代に おいても、⼩児の夜尿症、夜泣き、または⾼齢者、虚弱者の疲労回復などには ⽪膚刺激としての接触鍼が⼀般に⾏われている(尾崎, 2003)。 徳川五代将軍綱吉の侍医であった杉⼭和⼀は 1682 年に杉⼭流鍼稚導引稽古 所を開設し、世界初の盲⼈教育が始まった。これは、フランス(パリ・1784 年)で始まった視覚障碍者教育よりも 100 年も前であった。しかし、1871 年 に徳川幕府が倒れ、富国強兵を掲げる明治新政府は盲⼈官職を廃⽌し、太政官5 布告から 200 年続いた鍼治講習所が廃⽌となった。 明治新政府は⽇本の医学を⻄洋医学に定め、鍼灸・漢⽅を廃⽌する⼤変⾰を 断⾏した。1874 年には鍼灸に関する最初の法律「医制第 53 条」により、医師 の管理下に置くことを規定しようとしたが、施⾏されることはなかった。現代 においてもその意向は法律に反映され、医師の同意書により保険による鍼治療 が可能となる。1885 年には「鍼術、灸術営業 差許法(取締⽅)」により、鍼灸 の営業が認められた。1911 年には「鍼術、灸術営業取締規則」により、鍼灸の 営業免許制度が始まり、徒弟制度による鍼灸師養成を⼀部残しながらも、学校 制度による鍼灸養成を導⼊し、免許・教育制度が始まった。 1945 年、第⼆次世界⼤戦の敗戦による GHQ 占領下において、鍼灸治療は⾮ 科学的治療法であると解され、「医業以外での治療⾏為をすべて禁⽌する」こ とから、鍼灸は全⾯禁⽌となる。しかし、1947 年の医療制度審議会の「按摩、 鍼灸、柔道整復は医業の⼀部として治療⾏為を許可する」、「あん摩、はり、き ゅう、柔道整復は、教育を⾼度化させ、国家試験を実施する」内容を⽴法化さ せ、営業許可から⾝分免許となり、1988 年には厚⽣労働⼤⾂免許となっている (北⼩路, 2012)。 医師教育は、医師国家資格取得後も研修医制度、認定医制度、専⾨医制度、 指導医制度とキャリアアップの組織作りが確⽴されている。しかし、鍼灸師教育は資格取得後の卒後教育制度が明治から約 150 年間に亘って明確に整備され て来なかった。鍼灸教育の⾼度化を⽬指すために、都道府県知事の認可から平 成 5 年には第⼀回国家試験が実施され、厚⽣労働省の認可となった。しかし、 現実には専⾨学校における教育に⽌まり、主な教育が⼤学研究機関ではない。 すなわち、鍼灸関係の各学会・鍼灸業界は約 150 年に渡って医師会・各医学会 と議論できる⼟場に⽴つことが出来ない状態が継続され、現在においても知識 と実践の蓄積が整理できない為に臨床ガイドラインが整備できない現状である と思われる。

 

1-2 これまでの鍼刺激に関する研究の流れ

鍼刺激の作⽤機序に関する基礎研究は、動物およびヒトを対象として、全⾝ および局所⾎流、⽪膚温度、または⾎圧、⼼拍数による体性−⾃律神経反射に 関して報告されている。動物もヒトと同様に、ある種の刺激を⽪膚ないし深部 の感覚受容器に与えることで多様な⾃律神経反応および運動出⼒が引き起こさ れることが明らかとなってきた。現在⾏なわれている脊椎への⼿技療法や伝統 的鍼灸を含むほとんどの物理療法のメカニズムを科学的に理解することは、体 性−⾃律神経反射の神経性メカニズムを説明することになる。しかし、⼿技に よるあらゆる療法は情動に影響されると考えられるため、情動の無い動物による基礎実験が重要である(佐藤, 2012)。⼩林らは、ウレタン⿇酔により情動を 取り除いたラットにおいて、下腿のヒト⾜三⾥に相当する経⽳部位への鍼によ る⽪膚刺激では反応が認められなかったが、深層への筋刺激では⼼拍数の減少 反応が出現したことを報告している(⼩林ら, 2000)。この⼼拍数減少反応は、 坐⾻神経、⼤腿神経の切除および交感神経の切断で、それぞれ消失し、迷⾛神 経切断では影響を受けなかった。これらのことから、⾜三⾥の鍼刺激による⼼ 拍数減少反応は、交感神経性の反応であることが明らかになった。また、⼦宮 平滑筋や⼦宮⾎流が⾃律神経の機能によって⼤きく変化することや⼦宮に関す る情報が常時求⼼性神経を通って脳に伝えられていること、さらに、⽪膚に加 えた体性感覚刺激は⾃律神経を介して⼦宮の機能および⾎流調節がなされてい ることなどが明らかになってきており、ヒトの産婦⼈科領域における⼦宮運動 がかかわる⾻盤位分娩、逆⼦、分娩促進など、婦⼈科領域での鍼治療も⾏なわ れている(内⽥ら, 1999)。また、創傷による開放性損傷のあるラットの患部周 囲の刺鍼により、炎症性サイトカイン放出減少、新たに再⽣された細胞の増加 および⾎管新⽣、⾁芽組織形成によって創傷治癒を促進することも⽰唆されて いる(Sang et al., 2012)。その他にも、虚⾎による組織損傷における鍼刺激の 有効性が報告されており(内⽥ら, 2003; Kagitani et al., 2005; Uchida et al., 2010; Zhao et al., 2013; 内⽥ら, 2017; Bin et al., 2015; ⼩俣ら, 2005)、多くの8 動物実験が⾏われてきた。 ヒトへの鍼刺激に対する⽣理学的基礎反応および臨床研究は、1970 年代に中 国で⾏なわれた鍼⿇酔から世界的に広がりを⾒せた。⽇本においても鍼刺激に おける⽣体反応が、⾃律神経遮断剤を⽤いて報告されている。 まず、被験者 2 名について実験直前に鍼刺激による⼼拍数の減少を確認した。 第 1 に、プロパラノロール先⾏投与による交感神経 β 受容体系機能を遮断し、 ⼼拍数の減少を確認した上で鍼刺激を⾏うと、更に⼼拍数の減少が認められた。 その後、アトロピン投与のより副交感神経機能を遮断すると⼼拍数の急増が確 認され、その後の鍼刺激では⼼拍数に反応は認められず約 100 拍/分で推移し、 ⼼臓⾃動能を⽰した。第 2 に、アトロピン先⾏投与による副交感神経機能を遮 断し、⼼拍数の急増を確認した上で鍼刺激を⾏うと、⼼拍数の減少が認められた。 その後、プロパラノロール投与による交感神経機能を遮断すると⼼拍数の減少 が確認されるが、その後の鍼刺激では⼼拍数に反応は認められず約 100 拍/分で 推移し、⼼臓⾃動能を⽰した。したがって、鍼刺激による⼼拍数の減少は、交感 神経の抑制反応および副交感神経の亢進反応による 2 通りが考えられる。つま り、鍼刺激は交感神経を抑制させる作⽤および副交感神経を亢進させる作⽤を 同時に⾏っていることが明らかとなった。また、副交感神経遮断剤による 50~60 拍/分の上昇は、通常では副交感神経が⼼拍数を 50~60 拍/分減少させ、交感神経遮断剤による 20~30 拍/分の減少は、通常では交感神経が⼼拍数を 20~30 拍 /分増加させ、⼆重⽀配によるバランスの結果として⼼拍数が決定されているこ とが明らかとなった(⻄條ら, 2014)。⼀般に⼼臓⾃動能は⼼拍数が 100 拍/分、 安静座位は 70 拍/分と⾔われている。同じ 70 拍/分であっても⼼臓⾃律神経の 状況により、交感神経および副交感神経の両者が機能している場合と両者が総 じてあまり機能していない場合でも、結果的には同等の安静座位⼼拍数である ことが考えられる。 また、呼吸と⾃律神経については、⼀般に健康⼈では呼吸と⼼拍数に密接な 関係が確認されており、呼気時に⼼拍数が減少し、吸気時に⼼拍数が増加する 呼吸性洞性不整脈(RSA; respiratory sinus arrhythmia)が⽣じる。しかし、⾼齢 者、⼼不全、糖尿病もしくは精神的ストレスに暴露されている場合などにおい ては、RSA が認められないことが報告されている(Hayano et al., 1996; Magagnin et al., 2010)。また、アトロピンにより副交感神経機能を遮断した場 合、呼吸性洞性不整脈は消失する。⼀⽅、プロパラノロールによる交感神経機 能を遮断した場合、呼吸性洞性不整脈は消失することはない。したがって、呼 気時による⼼拍数の減少は副交感神経の機能亢進であり、吸気時による⼼拍数 の増加は副交感神経の機能抑制であることが明らかとなった(⻄條ら, 2014)。 さらに、鍼治療における臨床上の問題として、臥位、座位、⽴位それぞれの姿勢と⾃律神経機能の密接な関係が報告されている。姿勢変換が⾃律神経機能へ 及ぼす影響に関しては、Head up tilt test が⾃律神経機能の最も基本的なスクリ ーニング検査(⾃律神経学会編, 2015)であり、チルトベッドを⽤いて他動的に 0 度から 75 度に姿勢変換をさせた健常者の⼼拍数は、アトロピン投与による副 交感神経遮断では⼼拍数の増加が認められる。しかしながら、インデラール投与 による交感神経遮断では、⼼拍数の増加は認められない。したがって、体位変換 による⼼拍数の変化は交感神経よる機能であることが明らかとなった。また、⼼ 拍数と⾎中ノルアドレナリン、アドレナリンの増加が臥位から⽴位への体位変 換と相関があることも報告されている。結果として、呼吸は副交感神経が主体的 に機能し、姿勢変化には交感神経が主体的に機能するという、⾃律神経機能のす みわけが考えられる。(⻄條ら, 2014)。Nepal らは、臥位と座位、臥位と⽴位の 姿勢変換と⾃律神経機能を⼼拍変動(heart rate variability; HRV) スペクトル解 析によって検討している。HRV は⼼電図 R-R 間隔変動の統計的演算もしくは R-R 間隔の周波数解析に基づく指標である。姿勢変換における 6 歳から 12 歳の 健常者 20 名を対象にした報告では、⽴位と臥位、⽴位と座位には有意差が認め られたが、臥位と座位には有意差が認められなかった(Nepal et al., 2012)。ま た、18 歳から 25 歳の 50 名の健康男性を対象とした姿勢変化と HRV の実験で は、HRV スペクトル解析において臥位、座位、⽴位の順で副交感神経の抑制、交感神経の亢進が認められたことが報告されている(Sanhita, 2014)。したがっ て、18 歳から25 歳の若年成⼈と⽐較して発育期の 6 歳から 12 歳の⼦供は姿勢 変換における⾃律神経の機能応答に差異があると考えられる。これらのことか ら、⾃律神経機能の改善を⽬的にする鍼治療は、姿勢による⾃律神経機能への影 響を考慮しなければならないことが⽰唆された。 これまでの先⾏研究の結果を踏まえ、⻄條は、鍼刺激の刺⼊時に関して、鍼 の深度(浅刺;⽪膚・⽪下組織、深刺;筋組織)、呼吸相(呼気時、吸気時)、 姿勢(臥位、座位)の 3 条件についての組み合わせ全 8 通りを検証し、「浅 刺、呼気時、坐位」による刺鍼法が副交感神経の機能亢進ならびに交感神経の 機能亢進を確認し、⾃律神経機能全体が⾼まることについて⼼拍数を指標とし て報告し、加えて⾝体柔軟性機能 (Floor-Finger Distance; FFD) の亢進につい ても報告している(⻄條ら, 2014; 森ら, 1997; 森ら, 1999; 森ら, 2000; Mori et al., 2010; Mori et al., 2012)。⼀般に⾃律神経は多くの内臓器官において交感神 経と副交感神経の⼆重⽀配であり、同⼀効果器に対する作⽤は相反性であり、 拮抗⽀配である。⼼臓は⼼臓交感神経および迷⾛神経(⼼臓副交感神経)の⼆ 重⽀配が明確に分布している。しかし、鍼刺激に対する体性−⾃律神経反射は ⼼臓交感神経および⼼臓副交感神経の両者に関与することにより⽣理的反応を ⼀定の状態に導いている。したがって、鍼刺激が⼼臓交感神経および⼼臓副交感神経の両者に作⽤しているか、もしくは⼀⽅が⼀層の賦活に関与する刺激の 結果として優先的に反応を起こすことになるか、について観察することは注⽬ すべき点である。近年の⾃律神経研究において多領域で報告されている HRV は⼼臓交感神経および⼼臓副交感神経の両者を同時に定量的に評価することを 可能とする為、先⾏研究で⼼拍数により評価した「⽪膚・⽪下組織に呼気時、 座位姿勢」を HRV で再評価することは意義深いと考えられる。

 

1-3 研究の⽬的

鍼による⽪膚および筋への刺激に関する理論的背景は、⾝体の体性−⾃律神 経反射による反応であると考えられている。⽣体の機能調節における⾃律神経 ⽀配は、⾼位中枢からのセントラルコマンドならびに末梢感覚受容器からのフ ィードバックにより瞬時に反応する。1979 年、WHO は鍼の適応 43 疾患を発 表したが、科学的根拠に基づいた効果効能が解明されている訳ではなく、経験 から導かれた結果であり、鍼灸臨床ガイドラインは未だ構築されていない。鍼 におけるこれまでの臨床効果は顔⾊、⾆の⾊などによる定性的評価が⼀般的で あり、疼痛および体調に関する評価は VAS (visual analog scale) によって主観 的評価を数値化する⼿法により報告されている。VAS は主観的評価を無痛 0 ㎜ から今まで感じた最も強い疼痛を 100 ㎜までに仮定した場合、現在の疼痛程度を 100 ㎜の線上に⽰す評価法である。臨床における鍼治療の定量的評価は⼼拍 数、⾎圧以外には器質的変化への影響を診る画像診断もしくは⾎液・尿検査に よる代謝系などを数値で評価することが⼀般的ではなく、鍼灸独⾃の評価法は ない。したがって、病態⽣理および症候もしくは現代医学の各疾病における鍼 刺激の効果とその限界に関しては、定量的評価が明確にされていないのが現状 である。 現代の⽇本における鍼治療は、古典的中国思想による東洋医学的考え⽅、も しくは科学的視点による現代医学的考え⽅により、基本的 17 刺鍼法に基づい て臨床が⾏われている(尾崎, 2003)。また、これまでの鍼刺激に関する研究 は、鍼を筋まで刺⼊した動物およびヒトの⽣理的直後反応に関する報告であ る。しかし、17 刺鍼法の各強度に関する刺激の特徴および各刺激直後からの継 時的な反応の推移に関する定量的評価は報告されていない。そこで、基本的 17 刺鍼法の最も弱い刺激とされる「管散術」、2 番⽬に弱い刺激とされる「細指 術」の 2 ⼿法に着⽬し、微弱な刺激においても臨床上有効な⽣理反応が⽣じる ことを定量的に評価することで、鍼刺激の強度による⽣理反応の有効限界およ び鍼刺激後からの継時的反応推移もしくは鍼の直後反応とその反応の持続性に ついて検討することは、鍼の臨床効果に関する評価の観点から意義深い。さら に、これまで報告されてきた鍼刺激の基礎的⽣理反応は、鍼刺激群および鍼刺激の無い群による有意差から統計的に鍼刺激の有⽤性を検討しているが、鍼刺 激による反応が弱い場合もしくは殆んど無反応である場合は、鍼刺激の受け⼿ である被験者もしくは患者の⼼臓⾃律神経機能に何らかの特徴があることが考 えられる。つまり、鍼刺激が臨床的に不適切である場合には、直ちに服薬ない し外科的⼿術もしくは運動刺激などが⽣体を改善する⽅向へ導く適刺激として 有⽤であると考えられ、速やかな⼼臓⾃律神経反応を促すことが必要である。 したがって、鍼による⽪膚・⽪下組織までの刺激もしくは⽪膚表層への刺激に よる有効性とその限界は受け⼿である被験者もしくは患者の情報を得ることで 判断することが可能であると考えられる。すなわち、鍼刺激が適刺激であるか 否かに関する判断資料となる独⾃の検査法の構築は極めて重要であると考えら れる。 本論⽂は、まず鍼刺激の強度の観点から刺⼊深度に着⽬した。17 刺鍼法の中 で⼆番⽬に軽微な刺激と位置づけられている「細指術」は、鍼を⽪下組織に刺 ⼊した後に鍼管を指頭で頻回かつ軽微に叩打する⼿法であり、刺⼊する鍼の深 さが最⼤でも⽪下 3 ㎜である。最も刺激が弱いと位置づけられている唯⼀鍼を ⾝体に刺⼊しない「管散術」は、鍼管を⽪膚上に⽴てて保持し、その管上を指 頭で頻回かつ軽微に叩打する⼿法である(尾崎昭弘, 2003)。さらに、本論⽂で 採⽤した⼿法は鍼刺激を刺⼊深度だけで考えるのでなく、呼吸および姿勢による⾃律神経要素を付加することでの刺激の相乗効果を意図した⼿法である。す なわち、⽪膚・⽪下組織もしくは⽪膚への刺激を呼気時に⽣じる⼼臓副交感神 経機能が亢進するタイミングと同期させ、臥位姿勢と⽐較して⼼臓交感神経機 能が亢進する座位姿勢と同調させた姿勢刺激を組み合わせることにより、鍼の 刺⼊深度、呼吸、姿勢の 3 要素の刺激を同時に⾏うことで⼼臓⾃律神経機能の 相乗効果を検討した。呼吸ならびに姿勢を考慮した軽微な⽪膚刺激が鍼刺激と 同等の体性−⾃律神経反射を起こし、筋緊張の緩和、柔軟性機能の亢進に連動 することが明らかになれば、国⺠⽣活基礎調査における⽇本⼈の不定愁訴の最 上位である筋緊張性の肩こり・腰痛改善に寄与することに期待できる。また、 ⾝体への侵襲がなく、場所と時間にとらわれず、簡便に⾏える健康法として明 らかになれば、広く国⺠の⾃⼰管理法の⼀つとして機能できると考えられる。 これまでの鍼刺激による体性−⾃律神経反射の指標は、ポリグラフによる⼼ 拍数、脈波、呼吸、⽪膚温度、瞳孔などにより報告されてきた(森ら, 1997; 森ら, 1999; 森ら, 2000; Mori et al., 2010; Mori et al., 2012)。しかし、近年では ⾮侵襲的で簡便な HRV を⽤いた⼼臓⾃律神経機能の指標が、⼼不全、⼼臓リ ハビリテーション、糖尿病、有酸素運動、ストレッチ運動、ヨガなどの多領域 において報告されている。しかし、鍼刺激における HRV による⾃律神経評価 はほとんど報告されていない。そこで本論⽂の⽬的は、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」および異 なる「⽪膚、呼気時、座位刺激法」について、⼼臓⾃律神経について評価する ことである。また、⼼臓⾃律神経機能の指標は、これまで鍼刺激に関してほと んど⽤いられてこなかった HRV を採⽤し、刺激の直後効果および継時的推移 に姿勢との関連性を含めて検討を加えた。 本論⽂は以下を作業仮説として検討した。(1)「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座 位刺鍼法」後の臥位姿勢が⼼臓⾃律神経の機能亢進の持続性に関与する。(2) 「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」は⼼臓交感神経および⼼臓副交感神 経の両者を同時に機能亢進させる。(3)「⽪膚、呼気時、座位刺激法」による刷 ⽑刺激においても「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」と同等の反応が⽣ じる。 先⾏研究による「浅刺、呼気時、坐位」による鍼刺激は、「⽪膚・⽪下組 織、呼気時、座位の鍼刺激」、もしくは「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼 法」と同義語であり、鍼⼿法そのものは同⼀の鍼⼿法である。

 

1-4 論⽂構成

本論⽂は緒論(第Ⅰ章)、本論(第Ⅱ~Ⅳ章)、結論(第Ⅴ章)の構成とし、 各章の概要を以下に述べる。

第Ⅰ章では、鍼の歴史、これまでの鍼研究の流れから、本論⽂の背景および ⽬的を述べる。 第Ⅱ章では、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位」による鍼刺激後の⼼臓⾃律 神経に関する即時反応および持続効果について HRV を⽤いて検討した。⽪ 膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法は、⼼臓交感神経機能ならびに⼼臓副交感 神経機能の双⽅が共に機能亢進させる刺激であると報告されている(⻄條, 2013)。しかし、⽣理学における基本的⼼臓⾃律神経の機能は⼆重⽀配、拮抗 作⽤であり、相反性反応である。したがって、鍼刺激における直後反応ならび に継時的推移について⼼臓⾃律神経機能を HRV により検討することは、⼼臓 交感神経機能ならびに⼼臓副交感神経機能の両者が同時点に測定可能であり、 臨床上における基礎的⽣理反応を明確にするために意義深い。また、同鍼刺激 後の経過について臥位姿勢と⽴位姿勢の異なる姿勢での⾃律神経機能への影響 は HRV、柔軟性機能については FFD による⽐較検討を⾏った。鍼刺激後の姿 勢による影響が、臥位姿勢による⼼臓副交感神経の機能亢進する姿勢および⽴ 位による⼼臓交感神経の機能亢進する姿勢において⼼臓⾃律神経における機能 の相違を明らかにすることは、鍼刺激の⽣理学的反応を検討する上で意義深 い。「対応する副論⽂ 1」 鍼刺激後の姿勢が⾃律神経機能に及ぼす影響 ⽇本健康⾏動科学, (2019) 17(2) 53-57

第Ⅲ章では、17 刺鍼法の中で⼆番⽬に軽微な刺激である⽪膚・⽪下組織まで の鍼刺激である細指術、最も軽微な鍼刺激である⽪膚表層への刺激である管散 術に着⽬し、細指術ならびに管散術における両者の⽣理反応について検討し た。極めて弱い鍼刺激による⾃律神経反応として、鍼を筋まで刺⼊せず⽪膚・ ⽪下組織までの刺⼊とする細指術、および刺鍼法の最も弱い刺激と位置付けら れている鍼を⾝体に刺⼊しない管散術との⾃律神経機能における⽐較はこれま でに報告がなく、⽣理反応の相違を確認することは臨床上の基礎資料として意 義深い。本論⽂は①呼気時のタイミングによる⼼臓副交感神経機能の亢進と同 期させ、②座位姿勢による⼼臓交感神経機能へ同調させる 2 刺激は同⼀刺激と し、⽪膚・⽪下組織の浅層までの細指術と⽪膚表層までの管散術の相違で⽐較 検討した。「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位」による 3 要素から成る鍼刺激お よび鍼管による「⽪膚組織、呼気時、座位」による刺激の相違について、HRV を⼼臓⾃律神経機能の指標として検討した。また、筋交感神経興奮は筋収縮を 起こすことが報告されており、基礎体⼒の⼀要素である筋の柔軟性は⾃律神経 の不安定性から筋の柔軟性機能が抑制されると考えられている。したがって、⼼臓⾃律神経機能の亢進が柔軟性機能に連動することが推測されるために柔軟 性機能についても検討を加えた。 「対応する副論⽂ 2」 鍼および鍼管の呼気時⽪膚刺激が⾃律神経機能に及ぼす影響 ⽇本健康⾏動科学, (2018), 17, 1-6

第Ⅳ章では、刷⽑による「⽪膚組織、呼気時、座位」と鍼刺激による「⽪ 膚・⽪下組織刺激、呼気時、座位」ならびに鍼管による「⽪膚組織、呼気時、 座位」刺激との⽐較について、HRV による⼼臓⾃律神経機能ならびに柔軟性 機能を⽴位体前屈により検討した。基礎体⼒の⼀要素である筋の柔軟性は⾃律 神経の不安定性から機能が抑制されることが考えられ、⼼臓⾃律神経の機能亢 進による柔軟性機能への影響を検討に加えた。 理学療法の領域では運動刺激の他、刷⽑刺激による中枢疾患における臨床効 果が 1940 年代から報告されていたが、鍼刺激および⽪膚刺激としての刷⽑刺 激との⽐較を報告した研究はみられない。鍼刺激と同等に異なる⽪膚刺激が⾃ 律神経機能の亢進ならびに柔軟性機能の亢進を確認できれば、鍼を⽤いること なく⽇常⽣活の健康⾏動に応⽤できると考えられる。「対応する副論⽂ 3」 呼気に同期した刷⽑による⽪膚刺激がヒト⾃律神経機能および⾝体柔軟性機能 に及ぼす影響―鍼刺激、鍼管刺激との⽐較― ⽇本⽣理⼈類学会, (2018), 23(4) 135-141

第Ⅴ章では、結論として総括した。

 ⽤語の略語および定義

BP; blood pressure: ⾎圧

SBP; systolic blood pressure : 収縮期⾎圧

DBP; diastolic blood pressure : 拡張期⾎圧

FFD; finger ‒ floor ‒ distance: 指床間距離

HR; heart rate: ⼼拍数

HRV; heart rate variability: ⼼拍変動

HF; high frequency: ⾼周波

HF power; ⾼周波パワー

HF component; ⾼周波成分

LF; low frequency: 低周波

LF power; 低周波パワー

LF component; 低周波成分

RSA; respiratory sinus arrhythmia: 呼吸性洞性不整脈

TE; 外関⽳(胃の三焦経の経⽳)

VAS; visual analog scale: 視覚的評価法

鍼管; 鍼を⾝体に刺⼊しやすくするためのサポートとして⽤いる管。 

浅刺、呼気時、坐位; 「⽪膚・⽪下組織、呼気時、坐位の鍼刺激」および「⽪膚・ ⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」は同義語。

細指術; 鍼管を指頭で頻回に叩打し、筋までの刺⼊しない刺鍼術。

管散術; 鍼を使⽤せず、鍼管上端への叩打による⽪膚表層への刺鍼術。

第Ⅱ章 鍼刺激後の姿勢が⾃律神経機能に及ぼす影響

2-1 ⽬的

これまでの鍼刺激による体性−⾃律神経反射に関する研究は、⼼拍数、⾎圧、 脈波、⽪膚温、瞳孔反射などの⽣理指標により検討されてきた(佐藤, 2012; ⼩ 林ら, 1988; 森ら, 1994; Mori et al., 2010)。⻄條らは、筋まで刺鍼しない⽪膚・ ⽪下組織までの鍼刺激を、呼吸相の呼気のタイミングに鍼・鍼管を軽微な叩打で 頻回に刺激し、姿勢は座位姿勢で⾏なうという 3 要素で⾃律神経機能全体を亢 進させ、⽴位体前屈による柔軟性機能も亢進させることを報告している(以下、 浅刺・呼気時・座位刺鍼法と称す。森ら, 1997; 森ら, 2000; ⻄條, 2013)。⽪膚・ ⽪下組織への鍼刺激は⼼臓副交感神経の機能亢進により⼼拍数が減少し、筋ま での鍼刺激は⼼臓交感神経の機能抑制により⼼拍数が減少することが報告され ている(⻄條, 2013)。また、呼吸と⼼拍数には密接な関係があり、⼼電図 R-R 間隔は呼気時に延⻑し、吸気時に短縮する呼吸性洞性不整脈 (respiratory sinus arrhythmia: RSA)が⽣じる(早野, 2003; Brown et al., 2007)。これらのことか ら、⽪膚・⽪下組織に呼気のタイミングで鍼刺激を⾏うことは、⼼臓副交感神経 機能を相乗的に亢進させる⽣体応答と考えられる。また、座位姿勢で刺鍼するこ とは、臥位姿勢と⽐較して⼼臓交感神経機能が亢進する姿勢となる。したがって、 浅刺・呼気時・座位刺鍼法は、ヒトの⼼臓副交感神経機能ならびに⼼臓交感神経24 機能の⼼臓⾃律神経機能全体を⾼める鍼⼿法であると報告されている(⻄條, 2013)。 これまでは、鍼刺激の体性−⾃律神経反射としての即時効果が報告されてき たが、効果の持続性、特に刺激後の姿勢が及ぼす効果について検討した報告は⾒ られない。⼀般的に、鍼治療は臥位姿勢で⾏われ、⽴位姿勢では⾏われない。ま た、臨床では治療後の持続的な姿勢について、治療効果や⾃律神経の機能改善に 及ぼす影響についてのガイドラインは⾒られない。 また、1990 年代頃からの⾃律神経研究には⼼拍変動 (Heart rate variability: HRV)スペクトル解析が⽤いられるようになり、Marek がタスクフォースとし てまとめた報告以来、HRV スペクトル解析による検討が数多くなされてきた (Akselrod et al., 1981; Pomeranz et al., 1985; Pagani et al., 1989; Marek, 1996; Hayano et al., 1996; Barak et al., 2010; Farinatti et al., 2011; Vinay et al., 2016)。 しかし、鍼刺激の HRV スペクトル解析による⾃律神経研究については報告が ほとんどない。 そこで本研究では、⽪膚・⽪下組織・呼気時・座位刺鍼法の持続効果について、 鍼刺激後の姿勢(臥位姿勢および⽴位姿勢)による差異が⾃律神経機能に及ぼす 影響について検討することとした。

 2-2 ⽅法

2-2-1 被験者

被験者は投薬、喫煙習慣の無い健常な男⼦⼤学⽣ 11 名(年齢 19.6 ± 1.0 歳、 ⾝⻑ 172.1 ± 4.1cm、体重 70.4 ± 4.3kg)であった。被験者には研究に対するイ ンフォームドコンセントを⼝頭ならびに書⾯で⾏い、実験に参加する同意を得 た。本研究は、宝塚医療⼤学倫理委員会(No.1407231)の承認を得た。

2-2-2 測定項⽬および実験環境

⼼電図は、胸部第Ⅱ誘導により導出し、多⽤途テレメータ(サイナアクト MT11: NEC メディカルシステムズ社製)の⽣体アンプ(MT-31; NEC メディカ ルシステムズ株式会社)にて増幅し、A/D 変換後、サンプリング周波数 1kHz で 記録し、R-R 間隔から瞬時⼼拍数(heart rate: HR)を算出した。また、HRV 解 析は、R-R 間隔時系列データから、⾼速フーリエ変換 (Fast Fourier Transform: FFT) 法によるスペクトル解析を⾏った。低周波数成分 (Low Frequency; LF: 0.04~0.15Hz)、⾼周波数成分 (High Frequency; HF: 0.15~0.40Hz) を求め、⾃ 律神経機能については HF 域のパワー値(以下 HF と称す)を副交感神経機能、 LF / HF を交感神経機能の指標とした。また、すべての実験は、室温 24−25℃、 湿度 50%RH、照度を 1000lx に設定した⼈⼯気候室で⾏った。

 2-2-3 鍼刺激および実験⼿順

被験者は、臥位姿勢、⽴位姿勢それぞれの姿勢を 5 分間保持した後、鍼刺激を ⾏った。鍼は、ステンレス製のディスポーザブル鍼(SEIRIN Corporation, Japan: ⻑さ 15mm、直径 0.1mm)を⽤いた。刺激部位には、経⽳の TE5 を⽤い、橈⾻ と尺⾻の中間点で前腕の遠位端から⼿関節背部の 2 ⼨ (6cm) 近位側とした。 鍼刺激は、先⾏研究で実施された⼿法を採⽤し背もたれの無い椅⼦座位姿勢 で、両前腕は机上で回内位に置いた。鍼の刺⼊深さは⽪下 3mm、刺激は被験者 の通常の呼吸リズムでの 15 回、呼気相と同期して鍼管上端への軽微な叩打を⾏ った(約 5 回 / 秒)。呼吸を制御することによる⾃律神経への影響を考慮して、 ⾃然呼吸を採⽤した。鍼刺激後、姿勢の差異が⾃律神経機能に及ぼす影響を経時 的に検討するために、臥位姿勢 5 分間、⽴位姿勢 5 分間を 1 セットとして 4 セ ット、40 分間の経過観察を⾏なった。実験を通して⼼電図を連続してモニタリ ングした(図 1)。

 2-2-4 統計解析

鍼刺激後の経過時間は、姿勢間で 5 分間のずれがある。これを考慮して、鍼刺 激による HR、HF、LF / HF の各項⽬について、時間経過(刺激前、刺激後 1〜 4)に関する⼀元配置分散分析を⾏った。時間経過に関する有意な影響が認めら れた場合には、Tukey-Kramer 法による多重⽐較検定を⾏った。なお、姿勢変換 直後の影響を考慮して、分析は 5 分間の内の後半 3 分間の値を対象とした。全 ての測定値は、平均値と標準誤差で⽰した。統計処理は、エクセル統計 2015 を ⽤いて⾏い、有意⽔準は 5%未満とした。

2-3 結果

鍼刺激前の臥位姿勢および⽴位姿勢の HR、HF ならびに LF / HF の刺激前に 図 1. 実験プロトコル 実験開始から終了まで、⼼電図を継続して測定した。臥位 5 分間、⽴位 5 分間 の後、浅刺・呼気時・座位刺鍼法での鍼刺激を⾏った。その後、臥位 5 分間、⽴ 位 5 分間を 4 セット⾏った。 28 対する、浅刺・呼気時・座位刺鍼後の経時的変化は以下の通りである。 HR では、⽴位姿勢変換後、時間経過の有意な影響は認められなかった(F (4, 40) = 1.12, p = 0.363)。⼀⽅、臥位姿勢では、時間経過の有意な影響が認められ た(F (4, 40) = 18.51, p < 0.001)。多重⽐較検定の結果、HR は刺激前に⽐べて 5 分後 (p < 0.05)、15 分後 (p < 0.01)、25 分後(p < 0.01)、35 分後(p < 0.01)で有意に減少し、さらに 5 分後と⽐較して 15 分後(p < 0.05)、25 分後 (p < 0.01)、35 分後(p < 0.01)において有意に減少した(図 2)。 図 2. HR における鍼刺激前から鍼刺激後の⽴位ならびに臥位の姿勢の違いに よる継時的変化。 29 HF のパワー値では、⽴位姿勢変換後、時間経過による有意な影響が認められ なかった(F (4, 40) = 2.59, p = 0.051)。⼀⽅、臥位姿勢では、時間経過による 有意な影響が認められた(F (4, 40) = 4.94 , p = 0.003)。多重⽐較検定の結果、 HF は、刺激前に⽐べて 25 分後(p < 0.01)、35 分後(p < 0.01)で有意な増加 が認められた(図 3)。 図 3. HF における鍼刺激前から鍼刺激後の⽴位ならびに臥位の姿勢の違い による継時的変化。30 LF / HF では、⽴位姿勢変換後、時間経過による有意な影響が認められなかっ た(F (4, 40) = 0.84, p = 0.508)。⼀⽅、臥位姿勢は、時間経過による有意な影響 が認められた(F (4, 40) = 3.24 , p =0.021)。多重⽐較検定の結果、LF / HF は 刺激 5 分後に⽐べて 25 分後で有意な増加(p < 0.05)が認められた(図 4)。 図 4. LF / HF の鍼刺激前から鍼刺激後の⽴位ならびに臥位の姿勢の違いによ る継時的変化。

 2-4 考察

浅刺・呼気時・座位刺鍼法による鍼刺激後の持続効果について、⽴位姿勢と臥 位姿勢での検討を⾏った。 HR は、⽴位姿勢においては有意な経時的変化は認められなかったが、臥位姿 勢においては、鍼刺激前と⽐較して有意に減少した。また、HF は、HR と同様 に、⽴位姿勢においては時間経過による有意な変化が認められなかったが、臥位 姿勢においては鍼刺激前と⽐較して時間経過に伴い増加し、鍼刺激前と 25 分お よび 35 分後との間で有意差が認められた。これは⼼臓副交感神経機能の亢進を ⽰している。さらに、HR の減少ならびに HF の亢進は時間の経過にともなって 変化が増⼤していることから、鍼刺激による体性−⾃律神経反射としての⽣理 的即時効果だけでなく、臥位姿勢による副交感神経機能の亢進が相乗的に機能 していることを⽰している。 ⼼臓交感神経機能の指標である LF / HF は、⽴位姿勢においては時間経過に よる有意な影響が認められなかった。しかし、臥位姿勢においては刺激 5 分後 から 25 分後の間で有意な変化が認められた。これは、⼼臓交感神経の機能亢進 を⽰している。同鍼刺激法については、これまで⼼臓交感神経ならびに⼼臓副交 感神経の両者が機能亢進することが⼼拍数を⽤いた検討から報告されている (⻄條, 2013)。本研究の結果、HRV スペクトル解析においても同様の結果が得32 られたが、⼼臓⾃律神経機能全体を⾼めるには、鍼刺激後の臥位姿勢(25 分〜 30 分程度)の保持が必要であることが⽰唆された。したがって、臨床の場にお いては鍼治療後直ちに終了とせず、臥位姿勢による安静時間を保持することが 鍼効果の持続性において重要であると考えられる。 本研究結果の注⽬される知⾒は、鍼刺激後の臥位姿勢において⼼臓交感神経 機能が亢進したことである。⼀般に、姿勢変換が⾃律神経機能へ及ぼす影響に関 しては、Head up tilt test が最も基本的なスクリーニング検査の⼀つとされ(⾃ 律神経学会編, 2015)、健常者では臥位姿勢から⽴位姿勢への姿勢変換によって 交感神経機能、エピネフリン分泌を増加させ、⼼臓循環動態へ影響を及ぼすこと が報告されている(⻄條, 2013)。姿勢と⾃律神経応答に関しては、健康な若齢 者を対象として、臥位と座位、臥位と⽴位の HRV スペクトル解析における HF、 LF / HF について検討し、臥位姿勢と⽴位姿勢とで有意差が認められたが、臥位 姿勢と座位姿勢には有意な差が認められないと報告されている(Banskota et al., 2012)。また、Sanhita は、健康成⼈男性において、HRV スペクトル解析の LF、 HF による⾃律神経機能の検討から、臥位姿勢、座位姿勢、⽴位姿勢の順で副交 感神経が抑制、交感神経が亢進することを報告している(Sanhita, 2014)。ヒト の発育発達に関する神経系の研究では、5 歳頃までに 80%の成⻑を遂げ 12 歳で ほぼ 100%になることが報告されている(藤井, 2013)。したがって、成⼈と⽐較して発育期の若齢者は、姿勢変換に対する⾃律神経機能が未成熟である可能性 が考えられるが、臥位姿勢は⼼臓副交感神経を機能亢進させることが⽰されて いる。しかし、浅刺・呼気時・座位刺鍼法の鍼刺激は、刺激後の持続的臥位姿勢 で⼼臓副交感神経の機能亢進のみならず⼼臓交感神経も機能亢進した。この知 ⾒は単なる臥位姿勢では⽣じない反応であり、同刺鍼法での鍼刺激が重要な要 素を含んでいると考えられる。

2-5 結語

浅刺・呼気時・座位刺鍼法の鍼刺激後の姿勢の差異による持続的⼼臓⾃律神経 機能へ及ぼす影響について検討を⾏った。鍼刺激後の臥位姿勢により⼼臓副交 感神経機能が亢進することが明らかとなった。また、⼼臓交感神経機能の亢進の 可能性も⽰唆された。これらのことから、鍼刺激後には臥位姿勢での安静姿勢保 持が鍼刺激効果の持続性に寄与することが⽰唆された。

第Ⅲ章. 鍼および鍼管の呼気時⽪膚刺激が⾃律神経機能に及ぼす影響

3-1 ⽬的

鍼灸、あん 摩、マッサージ、電気、温熱、冷却などの物理療法は、⽪膚、⾻格 筋、腱、深部組織などによる体性−⾃律神経反射が理論的背景にあると考えられて いる(佐藤, 2012)。そこで第Ⅱ章では、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」 における⼼臓⾃律神経機能の評価を HRV により⾏ない、鍼の即時反応である⼼臓 副交感神経の機能亢進が、臥位姿勢を保持することにより機能亢進が増⼤していく ことを明らかにした。さらに同刺鍼法は、副交感神経機能が亢進する臥位姿勢にお いて、⼼臓交感神経も機能亢進することを確認した。⽪下組織へ 3 ㎜まで鍼を刺⼊ する 17 刺鍼法で⼆番⽬に弱い刺激である細指術を⽤いた同刺鍼法は、刺鍼後の臥 位姿勢での経過により、⼼臓副交感神経だけでなく⼼臓交感神経も同時に機能亢進 することが⽰唆された。そこで、次に鍼を刺⼊しない軽微な⽪膚刺激に着⽬した。 中国⼤陸から 6 世紀ころに伝来した鍼治療の技術は⽇本独⾃の発展を遂げ、 江⼾時代の 18 世紀には乳幼児に対しておこなう鍼施術を⼩児鍼または接触鍼と称し、⽪膚への擦過や接触のみをおこなう軽微な⽪膚刺激も鍼刺激の範疇とした。⼩児 鍼、接触鍼は⾃律神経ならびに精神の不安定を起因とする精神⾝体症(⾷欲不 振、喘息性疾患、睡眠障害、夜尿症など)を適応症としている。この⼩児鍼、接触鍼 は 17 刺鍼法の管散術の⼿法を⽤いた技術である。管散術とは、鍼を⾝体に刺⼊せ35 ず鍼管上端への叩打による⽪膚表層への刺鍼術である(尾崎, 2003)。 他⽅、理学療法では振動刺激・ブラッシング・刷⽑刺激などの⽪膚刺激が臨床的に⽤ いられ、機能回復効果が知られている(細⽥ら, 2010)。⽇本で古くから⾏われている乾 布摩擦は、タオル、⼿ぬぐい、たわしを⽤いて⽪膚刺激を⾏う健康法であり、免疫機能 である⽩⾎球、リンパの増加が確認されている(Watanabe et al., 2012)。しかし、接触 鍼における⽪膚刺激が⾝体に及ぼす影響について、刺鍼部位・刺激の質・量・頻度についての 定量的な科学的根拠は明確ではない。 そこで、17 刺鍼法で最も弱い刺激である管散術に着⽬した。管散術は鍼管の先 端を軽微に叩打する⼿法を⽤いた⽪膚刺激である。17 刺鍼法に含まれる最も軽微 な⽪膚刺激が、⼆番⽬に弱い刺激と位置付けられている筋まで刺⼊しない細指術と ⽐較検討を⾏うことは、鍼刺激の新たな知⾒を得ることになり、⽪膚刺激および鍼 刺激における体制−⾃律神経反射の相違について検討することは、臨床基礎資料と して意義深い。 ⾃律神経機能の評価に関しては、その複雑な⾝体調節が⾏われているために⼼拍数、⾎圧、 呼吸、脈波、⽪膚温など、 複数の測定が必要であると考えられている。しかし、近年では ⼼電図 R-R間隔による⼼拍変動(heart rate variability; HRV ) のスペクトル解析によ り、⾮侵襲的な⼼臓⾃律神経機能の評価が数多く報告されている(Nakae et al., 1995; Malik, 1996; Houle et al., 1999; Moak et al., 2007; Magagnin et al., 2010; Barak et al., 36 2010; Farinatti et al., 2011; Banskota et al., 2012; ⿊野ら, 2012; Pecanha et al., 2013; ⼭下ら, 2015) 。中江らは、HRV が多くの臨床分野において⼼臓副交感神経機能評価 には⼀般的に⽤いることのできる基本的⽅法であり、特に⼦供、乳幼児には⾮侵襲的な⾃律 神経機能の評価として有効であると報告している(Nakae et al., 1995)。更に、⿊野ら は、筋まで刺⼊しない鍼による腹部への⽪膚刺激が⼼臓副交感神経 機能を亢進させる ことを報告している(⿊野ら, 2012)。 ⼀⽅、⼼電図 R - R 間隔は呼気時に延⻑(⼼拍数減少)し、吸気時に短縮(⼼拍数増加) する。この⼼拍数と呼吸の協調活動は、呼吸性洞性不整脈(respiratory sinus arrhythmia: RSA)といわれ、呼吸中枢の迷⾛神経節前ニューロン出⼒により呼気時にR‒R 間隔が延⻑し、他⽅は肺の伸展受容器からの⼊⼒による迷⾛神経刺激が吸気時に抑制 される現象である(⼭下ら, 2015; Hayano et al., 1996; Brown et al., 2007)。しかし、 呼気時のR-R間隔延⻑による⼼拍数減少は、過度の精神ストレス、糖尿病、⼼不全には ⽣じない(Hayano et al., 1996)。また、ヒトを対象とした⾃律神経遮断剤を⽤いた鍼 刺激の実験結果から、⽪膚・⽪下組織刺激は⼼臓副交感神経の機能亢進、筋までの刺⼊では⼼ 臓交感神経の機能抑制による⼼拍数減少が確認された(⻄條, 2013)。したがって、呼 気時に鍼による⽪膚・⽪下組織へ刺激することは、⼆刺激を同期させて⼼臓副交感神経 を機能亢進させることとなる。さらに、チルドベッドによる臥位から⽴位への姿勢変換は、⼼ 拍数とエピネフリン濃度を増加させることが確認されている。このことから「浅刺、呼気時、坐 37 位」による鍼刺激の⼿法は、浅刺・呼気時により⼼臓副交感神経を機能亢進させ、座位により 交感神経を機能亢進させて⾃律神経機能全体を亢進させると報告されている(⻄條, 2013; ⻄條ら, 2014)。したがって、軽微な⽪膚刺激が、鍼刺激に匹敵する⽣体反応を発現で きれば、⾮侵襲的に⽣体の⾃律神経活動を調節することが可能となり、健康の維持・増進およ びコンディショニングに有⽤な指針となる。 そこで本研究は、鍼および鍼管による⽪膚刺激を呼気時、座位姿勢で⾏ない、⼼臓⾃律神 経機能および⾝体柔軟性機能に及ぼす影響について検討することを⽬的とした。 

3-2 ⽅法

3-2-1 被験者

被験者は、継続治療、投薬が無く、喫煙習慣の無い健康男⼦ 15 名(年齢 20.5 ± 0.3 歳、⾝⻑ 174.9 ± 1.1 cm、体重 69.1 ± 2.4 kg)であった。被験者には研究 に対するインフォームドコンセントを⼝頭ならびに書⾯で⾏い、実験に参加す る同意を得た。本研究は、宝塚医療⼤学研究倫理委員会による承認を得た(承認 番号:1507031)。

3-2-2 プロトコル

実験⼿順は、安静座位 5 分間、⾎圧測定、2 回の⾝体柔軟性機能測定、安静座38 位 3 分間、各種刺激(鍼および鍼管における刺激時間は、各被験者の⾃然呼吸 15 回)、安静座位 3 分間、⾎圧測定、2 回の⾝体柔軟性機能測定とした。各被験者 は鍼刺激と鍼管刺激の実験を異なる⽇にランダムに実施した(図 1)。

3-2-3 刺激と刺激部位

使⽤する鍼は⻑径 15 mm、直径 0.1 mm のステンレス・ディスポーザブル鍼 (SEIRIN Corporation, Japan)を使⽤した。⽪膚刺激に使⽤した鍼管はプラスチィ ック製の鍼管(⻑径 12 mm,直径 5 mm)を使⽤した。刺激部位は⽚側の外関⽳ (前腕後⾯、橈⾻と尺⾻の⾻間中点、⼿関節背側横紋の上⽅ 2 ⼨ (6cm))とした。 外関⽳を使⽤した理由は、鍼被験者が⾃然でリラックスした坐位姿勢であると 図 1.実験プロトコル 実験開始から終了まで、⾎圧測定ならびに FFD 測定以外は、⼼電 図を継続して測定した。安静坐位 5 分間、⾎圧ならびに FFD 測定、 3 分間の安静坐位、各被験者が⽚側の前腕部(外関⽳)に鍼刺激・鍼管 刺激をランダムに実施した。39 同時に施術者も過緊張のない姿勢で刺鍼可能なためである。鍼刺激は鍼と鍼管 の⻑径の差である 3 mm を刺⼊した状態、鍼管刺激は鍼を刺⼊せず鍼管のみを ⽪膚表層に接した状態で、各被験者の⾃然呼吸 15 回の呼気時に 1 秒当たり約 5 回 / 秒で鍼管の上端に軽微な叩打を⾏った(図 2)。 なお、叩打については、機械は使⽤せず⽰指による呼気時の断続的な⼿技で⾏ った。被験者は、実験を通して椅⼦座位姿勢を保持し、両前腕は机上に回内位に 固定した。⼼電図は、⾝体柔軟性機能の測定時を除き継続して測定した。 図 2.鍼刺激および鍼管刺激の⼿法 鍼と鍼管の⻑径の差は 3 mm であり、鍼管を外さなけれ ば 3 mm の鍼が⽪膚に刺⼊されている。この状態で 1 秒間 に約 5 回の割合で鍼管の先端を軽く連打する。鍼管刺激の 場合は鍼を使⽤せず、鍼管のみで同様の刺激を⾏なった。

3-2-4 測定項⽬

3-2-4-1 ⼼電図

⼼電図は、⼼電⼼拍計(LRR-03; CROSSWELL Co., Ltd., Japan)、⾃律神経機 能⽣体情報モニタ(起⽴名⼈; CROSSWELL Co., Ltd., Japan)を使⽤し、胸部第Ⅱ 誘導により測定し、サンプリング周波数 1k Hz にて取り込み R - R 間隔から瞬 時⼼拍数を算出した。

3-2-4-2 ⾎圧

⾎圧の測定には⾃動⾎圧計(HEM-7500F; OMRON Corporation, Japan)を使 ⽤した。

3-2-4-3 ⾝体柔軟性機能

⾝体柔軟性機能評価には、⽴位体前屈(FFD: Floor - Finger Distance)による指 床間距離を測定した。測定は、30 cm の台に裸⾜で⽴ち、踵を合わせ、⺟趾間を やや開き、膝、上肢、指は伸展位にて反動をつけず上半⾝を前⽅に可能な限り屈 曲した。第 3 指の指先と台の距離を 2 回測定し、平均値を採⽤した(T.K.K.5003; Takei Scientific Instruments Co., Ltd., Japan)。

 3-2-4-4 測定環境条件

全ての実験は、室温 24 - 25 ℃、湿度 50 - 55%の室内で⾏われた。

3-2-4-5 データ解析

⾃ 律 神 経 機 能 の 解 析 は 、 HRV ス ペ ク ト ル 解 析 ( 最 ⼤ エ ン ト ロ ピ ー 法 : MemCalc)を⾏い、⾼周波成分 High-Frequency; HF (0.15 - 0.45Hz)、低周波成 分 Low-Frequency; LF (0.04 - 0.15Hz)を測定し、HF を⼼臓副交感神経機能の指 標、LF を⼼臓副交感神経機能と交感神経機能の指標、LF / HF を⼼臓交感神経 機能の指標とした。

3-2-4-6 統計解析

全てのデータは、各期(刺激前、刺激中、刺激後)の平均値と標準誤差で⽰した。 各測定項⽬における鍼刺激と鍼管刺激の⽐較および各期の⽐較については、HR、 HF、 LF / HF は(鍼刺激・鍼管刺激) × (before・stimuli・after)、FFD、⾎圧は、 (鍼刺激・鍼管刺激) × (before・after)を 2 要因とする⼆元配置分散分析を⾏い、 主効果(刺激および時間経過; 刺激前、刺激中、刺激後)または交互作⽤がみら れた場合には、Bonferroni 法による多重⽐較検定を⾏った。統計処理には、エク セル統計 2015 を⽤い、統計的有意⽔準は 5%未満とした。

3-3 結果

鍼による⽪膚・⽪下組織刺激および鍼管による⽪膚刺激における⼼拍数は、⼆ 元配置分散分析の結果、刺激の主効果および刺激と時間経過の交互作⽤につい ては有意差が認められなかった。⼀⽅、時間経過の主効果は有意差が認められた (F(2,28) = 37.455, p < 0.01)。多重⽐較検定の結果、鍼刺激、鍼管刺激ともに刺 激前と刺激中を⽐較すると、刺激中に⼼拍数の有意な減少が認められ(鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01)、刺激後には刺激中と⽐較して有意な増加が認められた(鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01) (図 3)。 図 3.⼼拍数における鍼刺激および鍼管刺激の変化 鍼による⽪膚・⽪下刺激および鍼管による⽪膚刺激に おける HR の刺激前、刺激中、刺激後の変化を⽰した。43 HF は、⼆元配置分散分析の結果、刺激の主効果および刺激と時間経過の交互 作⽤については有意差が認められなかった。⼀⽅、時間経過の主効果は有意差が 認められた(F(2,28) = 13.857, p < 0.01)。多重⽐較検定の結果、鍼刺激、鍼管刺 激ともに刺激前と刺激中を⽐較すると、刺激中に HF の有意な増加が認められ (鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01)、刺激後には刺激中と⽐較して有意な減少が認め られた(鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01) (図 4)。 図 4. HF における鍼刺激および鍼管刺激の変化 鍼による⽪膚・⽪下刺激および鍼管による⽪膚 刺激における HF の刺激前、刺激中、刺激後の変 化を⽰した。 44 LF / HF は、⼆元配置分散分析の結果、刺激と時間経過の交互作⽤(F(2,28) = 3.455, p < 0.05)について有意差が認められた。多重⽐較検定の結果、刺激前お よび刺激中の LF / HF は、鍼管刺激に⽐較して鍼刺激で有意な増加が認められ た(p < 0.01)。また、鍼刺激、鍼管刺激ともに刺激前と刺激中を⽐較すると、刺 激中に LF / HF の有意な減少が認められ (鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01)、刺激後 には刺激中と⽐較して有意な増加が認められた (鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01) (図 5)。 図 5. LF / HF における鍼刺激および鍼管刺激の変化 鍼による⽪膚・⽪下刺激および鍼管による⽪膚 刺激における LF / HF の刺激前、刺激中、刺激後 の変化を⽰した。 45 FFD は、⼆元配置分散分析の結果、刺激の主効果に有意差が認められた (F(1,14) = 8.282, p < 0.05)。さらに時間経過の主効果においても有意差が認め られた(F(1,14) = 60.718, p < 0.01)が、刺激と時間経過の交互作⽤については有 意差が認められなかった。多重⽐較検定の結果、刺激前および刺激後の FFD は、 鍼管刺激に⽐較して鍼刺激で有意な機能亢進が認められた(p < 0.01)。また、鍼 刺激、鍼管刺激ともに刺激前と刺激後を⽐較すると、FFD の有意な機能亢進が 認められた(鍼: p < 0.01, 鍼管: p < 0.01) (図 6)。 ⾎圧は、⼆元配置分散分析の結果、刺激の主効果、時間経過の主効果および刺 激と時間経過の交互作⽤についてはすべて有意差が認められなかった。 図 6. FFD における鍼刺激および鍼管刺激の変化 鍼による⽪膚・⽪下刺激および鍼管による⽪膚刺 激における FFD の刺激前ならびに刺激後の変化を ⽰した。

 3-4 考察

本研究は、座位姿勢における呼気時のタイミングでの⽪膚・⽪下組織への鍼刺 激ならびに鍼管による⽪膚表層への⽪膚刺激が⾃律神経機能に及ぼす影響を検 討した。本実験結果から、鍼刺激だけでなく鍼管による軽微な⽪膚叩打において も有意な⼼拍数の減少、HF の増加、LF / HF の抑制および FFD の亢進が認め られた。したがって、鍼刺激だけでなく、鍼と異なる⽪膚刺激を呼気時に同期さ せることによって⼼臓副交感神経の機能亢進と⼼臓交感神経の機能抑制および ⾝体柔軟性が機能亢進することが明らかとなった。 呼気時のタイミングで⽪膚刺激を⾏う⼿法は、RSA による迷⾛神経機能亢進 の影響を受けることが推察され、呼気による⼼臓副交感神経の機能亢進ならび に⽪膚刺激による⼼臓副交感神経の機能亢進が同期することにより、⼼臓副交 感神経の機能亢進が相乗的に⾼められることが⽰唆された。 LF / HF は、鍼刺激ならびに鍼管刺激により有意に減少し、刺激終了後は有意 に増加した。したがって、HF 亢進時には LF / HF が抑制され、HF 抑制時には LF / HF が亢進する結果となり、今回の鍼刺激および鍼管刺激は⼼臓⾃律神経 が拮抗する反応を⽰した。しかし、同刺鍼法における⼼拍数から評価した先⾏研 究では、⾃律神経の⽣理的拮抗反応を⽰さず、⼼臓副交感神経の機能亢進および ⼼臓交感神経の機能亢進を増加させ、結果的に⾃律神経機能全体が亢進すると47 している(⻄條, 2013)。⼀⽅、姿勢と HRV に関する報告では、臥位と⽴位、座 位と⽴位の姿勢変換によって HF、LF / HF に有意差が認められるが、臥位と座 位では有意差が認められないことが報告されている(Barak et al, 2012)。近年の ⾃律神経研究では、HRV が⼼臓⾃律神経の評価⼿法として⽤いられている。し かし、座位姿勢と⽴位姿勢の⽐較では⼼拍数の増加が推察されるが、周波数解析 では⾃律神経機能に有意差はないと報告されていることから、⾃律神経評価に は⼼拍数と HRV による評価では相違があることが⽰唆された。 鍼刺激の⾎圧反応は種々の⼿法により報告されているが(Ohsawa et al., 1995; ⼩林ら, 2000; ⼩杉ら, 2008)、本研究の鍼刺激に対する⾎圧反応には有意な変化 は認められなかった。先⾏研究では⾎圧の変化が交感神経の機能抑制による反 応と報告されているため、今回の鍼刺激では有意な反応が認められなかったと 考えられる。 本研究では、⾃律神経機能の評価において FFD による柔軟性機能も採⽤した。 ストレッチ運動、ヨガによって⾝体柔軟性機能が亢進することは⼀般に知られ ている。静的なストレッチ運動による筋の伸⻑、関節可動域の拡⼤による柔軟性 を維持するために関与する感覚受容器は、筋紡錘、ゴルジ腱器官、関節の機械受 容器である。筋紡錘は筋⻑に関与し、感覚神経(求⼼性)はⅠa 群線維、Ⅱ群線 維、運動神経(遠⼼性)はα、γ繊維に配置され、感覚受容器と関与する神経が48 実際のストレッチ、柔軟体操では複雑に関与して柔軟性の向上と維持を制御し ている。しかし、本研究での鍼刺激は筋ではなく⽪膚・⽪下組織までの刺激およ び⽪膚刺激が柔軟性の機能亢進に連動している。この結果は、⽪膚・⽪下組織か らの刺激および⽪膚刺激による体性−⾃律神経反射が他のルートによる筋紡錘、 ゴルジ腱器官、関節の機械受容器へ刺激が伝達されていることが考えられる (Alter, 2010)。 ストレッチ運動における HRV による評価において、⼼臓副交感神経の機能亢 進は確認されている(Farinatti et al., 2011)。また、全⾝持久性運動など多種⽬ の運動においても運動直後から LF / HF の亢進が認められるが、運動終了後か らは HF の亢進が確認されている(Barak et al., 2010; Pecanha et al., 2013)。本 研究における⼿法の特⾊は、⽪膚刺激を呼気のタイミングで⾏ったことである。 呼吸と⼼拍数は深くかかわり、呼気時に⼼拍数は減少、吸気時に⼼拍数は増加す る RSA は⼼臓⾃律神経機能と相関し、呼気時に⼼臓副交感神経が機能亢進する ことは確認されている。したがって、呼気時は⼼臓副交感神経の機能亢進するタ イミングであると考えられる。今回の結果により呼気のタイミングによる⽪膚 刺激によって⾝体柔軟性機能の亢進が認められたことから、⼼臓副交感神経の 機能亢進は、筋の興奮抑制から⾝体柔軟性機能亢進を⽣じさせる可能性を⽰唆 している。しかし、局所における⽪膚刺激が全⾝反応としての柔軟性の亢進に及49 ぼすメカニズムについては今後の課題としたい。

3-5 結語

「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位姿勢」による鍼刺激ならびに鍼管刺激による⽪ 膚表層への刺激が⾝体に及ぼす影響について、HRV、FFD、⾎圧による⾃律神 経反応を検討した。鍼管による⽪膚表層への刺激においても鍼による⽪膚・⽪下 組織刺激と同様、有意な⼼臓副交感神経の機能亢進および FFD の有意な亢進、 ⼼臓交感神経の機能抑制が認められ、鍼以外の⽪膚刺激⼿法においても⼼臓⾃ 律神経反応が⽣じる結果を得た。軽微な鍼管による⽪膚刺激を呼気のタイミン グで⾏うことによって、⼼臓⾃律神経および⾝体柔軟性の機能亢進を惹起する ことが明らかとなったことは、健康管理やコンディショニングの⼀助として⽇ 常⽣活およびスポーツ活動に応⽤可能な⼿法となると思われる。 しかし、刺激の持続性に関しては、刺激による即時効果として⼼臓副交感神経 の機能は亢進するが、刺激の停⽌と共に機能が刺激前の状態の戻る結果となり、 ⼀過性の体性−⾃律神経反射としての反応であった。反応が⾝体に定着するに は求⼼性神経に時間的加重を与えるが必要と思われる。また、準備体操から本運 動を⾏うように、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」および「⽪膚、呼気時、 座位刺激法」の後に積極的な⾝体活動、スポーツへの導⼊法としても有⽤である50 と思われる。 

 

 

第Ⅳ章 呼気に同期した刷⽑による⽪膚刺激がヒト⾃律神経機能および⾝体柔 軟性機能に及ぼす影響 ―鍼刺激、鍼管刺激との⽐較―

4-1 ⽬的

第Ⅲ章では、⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位における鍼刺激および⽪膚、呼 気時、座位における鍼管刺激の 2 刺激を⽐較検討した結果、両者が同等の体性 −⾃律神経反射の⽣理応答を⽰した。この結果、鍼を⾝体に刺⼊しない管散術 を応⽤した⽪膚、呼気時、座位刺激法だけでなく、呼気に同期させた座位姿勢 における他の⽪膚刺激においても鍼刺激および鍼管刺激と同様に⾃律神経機能 および⾝体柔軟性機能に影響を及ぼすことが期待できると仮説を⽴てた。 鍼刺激による多様な⽣理的反応は、全⾝的協関に⽰される個体の⽣理特性を 臨床に応⽤してきた。現在では世界保健機関が臨床的効果を承認し、鍼刺激の ⽣理的多型性に関しては動物実験から臨床研究に⾄るまで様々な解明がなされ てきたが、その科学的根拠については未解決な部分が多い。これまで、鍼施術 の臨床効果に関する⽣理学的機序の⼀つは体性−⾃律神経反射と考えられてお り(佐藤, 2012)、⿇酔下ラットによる鍼刺激においては下腿の⾜三⾥相当部位 に対する筋刺激で⼼拍数の減少が報告されている(⼩林ら, 1998)。この⼼拍数 減少反応は交感神経を遠⼼路とする体性−⾃律神経反射に基づく反応であるこ とが明らかとなり、⼼臓交感神経の抑制が確認された。ヒトを対象とした鍼刺52 激では、⼼臓由来の経⽳の刺鍼により左⼼機能の改善の妥当性が報告されてい る(森ら, 1994)。基礎研究では、⾃律神経遮断剤を⽤いた鍼刺激の実験におけ る⼼拍数の減少反応について、鍼の⽪膚・⽪下組織刺激は⼼臓副交感神経の機 能亢進に由来する反応であり、筋までの鍼刺激では⼼臓交感神経 β 受容体系 機能の抑制から起こる現象であることが確認されている(⻄條, 2013)。 鍼刺激の⾃律神経反応に関する臨床知⾒では、⼩児鍼もしくは接触鍼と呼ば れる⼿法が鍼を⾝体に刺⼊しない⽪膚への擦過や鍼管による叩打刺激とされて おり、このような⽪膚刺激も鍼刺激の範疇とされている(尾崎, 2003; ⻑野ら, 2010)。⼀⽅、理学療法分野における⽪膚刺激に関してルードらは、異常運動 として表出される運動出⼒が反射⼸を通した感覚⼊⼒から⽣じる筋活動の活性 と抑制によって、脳梗塞の中枢神経疾患による関節可動域制限、アテトーゼ型 脳性⿇痺による不随意運動などが正常運動機能を獲得、維持されることを臨床 的知⾒から報告している(清⽔ら, 2005)。ここでいう感覚⼊⼒の⼿法はブラッ シング、軽擦、タッピング、バイブレーション、ストレッチ、アイシングであ る。そこで、本研究はブラッシングの⼀つである刷⽑による弱い⽪膚刺激の感 覚受容器への⼊⼒に着⽬した。鍼刺激、鍼管刺激との⽐較における刷⽑刺激の 優位性は、より弱い⽪膚刺激である刷⽑刺激によって⾃律神経系への効果を得 ることを確認することにより、⼼⾝への負担が少なく、広く実⽤の可能性を⾒53 出せることになる。これまで、刷⽑刺激の効果について⾃律神経系に⾔及した 報告は⾒られない。さらに、刺激の⼿法については、⽪膚・⽪下組織刺激(浅 刺:副交感神経亢進)、呼吸(呼気時:副交感神経亢進)、姿勢(座位:交感神 経亢進)の組み合わせによる「浅刺、呼気時、座位」での鍼刺激が、副交感神 経機能および交感神経 β 受容体系機能を主体的、持続的に亢進させることが ⼼拍数により報告されていることから、この⼿法における⽪膚・⽪下組織刺激 を刷⽑刺激に応⽤し、⾃律神経機能について鍼刺激ならびに⽪膚表層への鍼管 刺激と⽐較検討した。 第Ⅱ章、第Ⅲ章と同様に、⾃律神経の評価指標は HRV(HRV: heart rate variability)スペクトル解析により⾏った。このスペクトル解析法による運動の ⾃律神経反応については、ストレッチング運動による⾝体柔軟性機能亢進後に は⼼臓副交感神経が機能亢進すること、短時間のヨガにおいても⼼臓副交感神 経が機能亢進することが報告されている(Fariatti et al., 2011; Vinay et al., 2016)。筋への伸展エクササイズは筋紡錘、ゴルジ腱器官、関節内感覚受容器 を刺激した後に柔軟性が機能亢進するは明らかとなっているが、同時に⼼臓副 交感神経が機能亢進することが確認されている。そこで、鍼刺激もしくは鍼管 刺激および刷⽑刺激による⽪膚刺激が、⽪膚・⽪下組織の感覚受容器に求⼼性 刺激の反応として⾝体柔軟性機能が亢進する可能性があると仮説を⽴てた。

4-2 ⽅法

4-2-1 被験者と実験実施者

被験者は、継続治療、投薬のない健康な男⼦学⽣ 20 名 (年齢 20.5 ± 0.3 歳、⾝⻑ 174.4 ± 1.0 ㎝、体重 70.0 ± 2.2 ㎏) であり、実験は鍼灸師国家資格 取得者がおこなった。被験者には、研究の内容、安全性、個⼈情報の保護等に ついて⼝頭ならびに書⾯で説明し、実験参加の同意を得た。本研究は、宝塚医 療⼤学研究倫理委員会による承認を得た (承認番号: 1507031)。

4-2-2 ⽪膚刺激の⽅法と刺激部位

刷⽑刺激は、約 5,700 回転/分⽑筆により前腕部(外関⽳)へ約 5 ㎜の⽪膚 接触部分の⽪膚刺激とした。モータに接続した刷⽑の回転数は⽪膚に圧が加わ り、回転数が 1 回 / 分でも減少すると瞬時に数値がデジタル表⽰される構造 である。図 1 は、⽪膚に接触しない状態での回転数であり、5,700 回 / 分を保 持するように⽪膚刺激を⾏なった。 刷⽑刺激は約 5,700 回転/分の⽑筆による同⼀部(外関⽳)への⽪膚刺激とした。 ⽪膚に接触しない状態での回転数であり、5,720 回 / 分を⽰している。 鍼刺激は、⻑径 35 ㎜(鍼体 15 ㎜、鍼柄 20 ㎜)、直径 0.1 ㎜のステンレス・ ディスポーザブル鍼を使⽤し、鍼管は⻑径 32mm のため⽪膚表⾯から深部 3 ㎜ までの⾝体への刺⼊であり、筋までの刺⼊はない。 鍼管刺激は、鍼刺激で使⽤したプラスチィック製の鍼管(直径 4mm、⻑径 32mm)を使⽤し、鍼を⽪下に刺⼊しない鍼管による⽪膚表層への刺激とし、 鍼刺激と鍼管刺激は約 5 回/秒で鍼管の上端に軽微な叩打をおこなった(図 2)。 図 2. 鍼刺激および鍼管刺激の⼿法 鍼と鍼管の⻑径の差は 3 ㎜であり、鍼管を外さなければ 3 ㎜の鍼が⽪膚に 刺⼊される。この状態で 1 秒間に約 5 回の割合で鍼管の先端を軽く連打する。 鍼管刺激の場合は鍼を使⽤せず、鍼管のみで同様の刺激を⾏った。 57 全ての刺激の部位は、外関⽳(前腕後⾯、橈⾻と尺⾻の⾻間中点、⼿関節背 側横紋の上⽅2⼨(6 ㎝))とした。外関⽳を使⽤した理由は⽪膚・⽪下組織へ の刺激を与えて⼼臓副交感神経に刺激を加えることであり、被験者が⾃然でリ ラックスした座位姿勢であると同時に実験者も不⾃然で過緊張のない姿勢で刺 鍼が可能になるためである。⼀連の先⾏研究での「浅刺、呼気時、座位」の⼿ 法では、外関⽳に刺激を与えることが採⽤されている。いずれの刺激も各被験 者の通常の⾃然呼吸 15 回の呼気時に同期させて刺激を加えた。呼吸リズムを 時間統制によりコントロールする場合、精神緊張ならびに筋緊張などにより⼼ 臓副交感神経機能の抑制、⼼臓交感神経機能の亢進による⾃律神経系への影響 が懸念されるため、⾃然呼吸(各被験者が⽇常的に⾏っている呼吸)15 回の⼿ 法を採⽤した。安静時呼吸は毎分平均 14 回(毎分 11-18 回)とされているた め、実質には約 60 秒間である。また、胸郭変動による呼吸位相の変化と同期 した刺激に関しては、モニタ画⾯および⽬視による胸郭の動きを確認しながら ⾏った。 鍼刺激による疼痛、不快を感じる場合は⼼臓副交感神経の機能抑制、⼼臓交 感神経の機能亢進により⼼拍数は増加するため、被験者が疼痛、不快を訴えた 場合は実験を即中⽌とした。

4-2-3 測定項⽬

4-2-3-1 ⼼電図

⼼電図は、胸部双極誘導法により測定し、⾃律神経機能⽣体情報モニタ− (起⽴名⼈;クロスウェル社製)、⼼電⼼拍計(LRR-03; クロスウェル社)を 使⽤し、サンプリング周波数 1kHz にて取り込み R−R 間隔から瞬時⼼拍数 (HR)を算出した。また、R-R 間隔時系列データから HRV スペクトル解析を⽤ いて⾼周波成分 High-Frequency: HF (0.15-0.40Hz)、低周波成分 Low Frequency: LF (0.04-0.15Hz) を求めた。HF を⼼臓副交感神経機能の指標、 LF / HF を⼼臓交感神経機能の指標とした。HRV 解析区間は、刺激前の安静 3 分間、刺激後の安静 3 分間の各後半 2 分間、刺激中は⾃然呼吸 15 回の時間を 全て採⽤した。

4-2-3-2 ⾎圧

⾎圧測定は、⾃動⾎圧計 (HEM-7500F: オムロン社製)を使⽤し、収縮期⾎ 圧 (SBP) および拡張期⾎圧 (DBP) を測定した。

4-2-3-3 指床間距離 体柔軟性機能の評価は、⽴位体前屈による指床間距離 (FFD: floor - finger - distance) を指標として⽤いた(T.K.K.5003: ⽵井機器社製)。測定は、30 ㎝の 台に裸⾜で⽴ち、踵を合わせ、⺟趾間をやや開き、膝、上肢は伸展位のまま、 反動をつけず上半⾝を前⽅に可能な限り屈曲する。上肢左右第 3 指の頂点と台 の距離を 2 回測定し、平均値を採⽤した。

4-2-3-4 プロトコル

実験⼿順は、安静座位 5 分間、⾎圧測定、2 回の FFD 測定、安静座位 3 分 間、⾃然呼吸の呼気時に 15 回の各種刺激、安静座位 3 分間、⾎圧測定、2 回の FFD 測定の順に⾏った。被験者は、実験を通して開眼状態で椅⼦座位姿勢を保 持し、両前腕は机上に回内位で置いた。⼼電図は、実験中連続して測定した (図 3)。 図 3. 実験プロトコル 実験開始から終了まで⼼電図の連続測定を⾏なった。安静座位 5 分間、⾎圧なら びに FFD 測定、3 分間安静座位、3 種刺激、安静座位 3 分間、⾎圧ならびに FFD 測 定の順に⾏なった。HRV 解析区間は、刺激前、刺激後の安静時は 3 分間の後半 2 分 間、刺激中は⾃然呼吸 15 回の時間を採⽤した。

4-2-3-5 統計解析

各測定項⽬において、刺激および時間経過の差を⽐較するために、刺激 (鍼、鍼管、刷⽑)と時間経過(刺激前、刺激中、刺激後)を 2 要因とする⼆ 元配置分散分析を⾏なった。刺激と時間経過の主効果ならびに交互作⽤がみら れた場合には単純主効果の検定を⾏い、有意な要因については Bonferroni 法に よる多重⽐較検定を⾏った。なお、FFD および⾎圧については、時間経過は刺 激前、刺激後の 2 ⽔準である。データは平均値と標準誤差で⽰し、統計処理に はエクセル統計 2015 を⽤い、全て有意⽔準は、5%未満に設定した。 

4-3 結果

HR は、⼆元配置分散分析の結果、時間経過の主効果 (F (2, 38) = 50.873, p < 0.001) および刺激と時間経過の交互作⽤ (F (4, 76) = 3.006, p = 0.023) に 有意差が認められた。刺激の各⽔準における時間経過の単純主効果は刷⽑刺激 (F (2, 114) = 31.547, p < 0.001) 、鍼刺激 (F (2, 114) = 37.546, p < 0.001) 、 鍼管刺激 (F (2, 114) = 12.169, p < 0.001) であり、HR における刺激の各⽔準 における時間経過の多重⽐較検定の結果は、いずれも刺激の直前に⽐べ刺激中 に有意に減少し (p < 0.001) 、刺激中に⽐べて刺激直後に有意に増加した (p < 0.001) 。⼀⽅、時間経過の各⽔準における刺激の単純主効果は、刺激前 (F (2, 114) = 0.256, p = 0.774) 、刺激中 (F (2, 114) = 0.222, P = 0.800) 、刺激 後 (F (2, 114) = 0.409, p = 0.666) で、いずれも有意差が認められなかった (図 4)。 図 4. HR における鍼刺激、鍼管刺激、刷⽑刺激の刺激前、刺激中、刺激後の変化 (** p < 0.01: 平均値と標準誤差で⽰した。) 62 HF は、⼆元配置分散分析の結果、時間経過の主効果のみ有意差が認められ た (F (2, 38) = 12.963, p < 0.001) 。刺激の主効果 (F (2, 38) = 2.276, p = 0.117) および刺激と時間経過の交互作⽤ (F (4, 76) = 0.200, p = 0.938) は有 意差が認められなかった。刺激の各⽔準における時間経過の単純主効果は、刷 ⽑刺激 (F (2, 114) = 6.991, p < 0.001) 、鍼刺激 (F (2, 114)=5.119, p = 0.007) 、鍼管刺激 (F (2, 114)=4.688, p < 0.001) であり、HF における刺激の 各⽔準における時間経過の多重⽐較検定の結果は、いずれの刺激直前に⽐べて 刺激中は有意に増加し (p < 0.001) 、刺激中に⽐べて刺激直後には有意に減少 した (p < 0.001) (図 5)。 図 5. HF における鍼刺激、鍼管刺激、刷⽑刺激の刺激前、刺激中、刺激後の変化 (** p < 0.01: 平均値と標準誤差で⽰した。) 63 LF / HF の⼆元配置分散分析の結果、時間経過の主効果は有意差が認められ たが (F (2, 38 ) = 3.648, p = 0.036) 、刺激の主効果 (F (2, 38) = 0.717, p = 0.495) および刺激と時間経過の交互作⽤ (F (4, 76) = 1.777, p = 0.142) は有 意差が認められなかった。刺激の各⽔準における時間経過の単純主効果は刷⽑ 刺激 (F (2, 114) = 3.237, p = 0.043) 、鍼刺激 (F(2, 114) = 1.043, p = 0.356) 、鍼管刺激 (F (2, 114) = 3.713, p = 0.027) であり、LF / HF における 刺激の各⽔準における時間経過の多重⽐較検定の結果は、鍼刺激以外の 2 刺激 は刺激直前に⽐べ刺激中に有意に減少し (p < 0.001) 、刺激中に⽐べて刺激直 後も鍼刺激以外の 2 刺激には有意な増加が認められた (p < 0.001) (図 6)。 図 6. LF/HF における鍼刺激、鍼管刺激、刷⽑刺激の刺激前、刺激中、刺激後の変化 (** p < 0.01: 平均値と標準誤差で⽰した。) 64 FFD は、⼆元配置分散分析の結果、時間経過の主効果のみ有意差が認められ た (F (1, 19) = 54.241, p < 0.001) 。刺激の主効果 (F (2, 38) = 1.335, p = 0.275) および刺激と時間経過の交互作⽤ (F (2, 38) = 1.109, p = 0.340) には 有意差が認められなかった。刺激の各⽔準における時間経過の単純主効果は、 刷⽑刺激 (F (1, 34) = 36.660, p < 0.001) 、鍼刺激 (F (1, 34) = 32.721, p < 0.001) 、鍼管刺激 (F (1, 34) = 49.348, p < 0.001) で、すべての刺激において FFD は刺激の前に⽐べて刺激後に数値の減少が認められた (図 7)。なお、 FFD の値は⼩さいほど柔軟性機能の亢進を⽰す。 図 7. FFD における鍼刺激、鍼管刺激、刷⽑刺激の刺激前、刺激後の変化 (** p < 0.01: 平均値と標準誤差で⽰した。) 65 ⾎圧 SBP、DBP の⼆元配置分散分析の結果、刺激、時間経過の主効果なら びに刺激と時間経過の交互作⽤において、すべて有意差が認められなかった (図 8)。

4-4 考察

本研究は、⾃然呼吸 15 回の呼気に同期させた座位姿勢での刷⽑刺激が、⾃律 神経機能および⾝体柔軟性機能に及ぼす影響について、鍼刺激および鍼管刺激 と⽐較検討した。その結果、刷⽑刺激においても、鍼刺激および鍼管刺激と同様 に HR は有意に減少し、HF は有意に亢進した。さらに刷⽑刺激により FFD が 有意に亢進することが明らかとなった。すなわち、⽪膚・⽪下組織刺激に対する HF ならびに FFD の反応は、刺激⼿法が異なったとしても同等の⽣体反応が起 こると考えられる。今回の実験では、無刺激の状態と⽐較していないことに関し てはリミテーションと考えられるが、座位姿勢のまま⾃然呼吸 15 回による⾃律 神経変化の可能性は極めて低いと考えた。 LF / HF は、刷⽑刺激および鍼管刺激には刺激による有意な減少、刺激後には 有意な増加を⽰し、HF との拮抗作⽤が認められた。しかし鍼刺激においては有 意な差が認められなかった。⿊野らは、腹部への鍼による⽪膚・⽪下組織刺激に おける⼼拍数の有意な減少と HF 成分の有意な増加について報告している(⿊ 野ら, 2012)。⼀⽅、⻄條は、⽪膚・⽪下組織刺激、呼気時、座位での刺激では⼼ 拍数による⾃律神経評価において⾃律神経機能全体が亢進すると報告し、結果 の相違が認められている(⻄條, 2013)。本研究では、⻄條の⼿法を刷⽑刺激、 鍼管刺激に応⽤し、新たに HRV スペクトル解析を⽤いて評価した結果である。⿊野と⻄條の鍼刺激⼿法の違いは、呼気相への同期と臥位と座位の姿勢の相違 である。鍼刺激と刷⽑刺激および鍼管刺激とが異なる結果を⽰したことについ ては、鍼刺激が⽪膚・⽪下組織までの刺激であり、刷⽑刺激および鍼管刺激が⽪ 膚表層への刺激であることも考えられる。これらの知⾒から、呼気相による⼼臓 副交感神経機能亢進ならびに⽪下組織における感覚神経に直接機械的刺激の⼊ ⼒が、HF および LF / HF へ何らかの影響を与えていることが推察される。⼀ ⽅、⼼臓⾃律神経機能の評価に関する HRV スペクトル解析については、HF 成 分は迷⾛神経活動を反映する指標であるとの知⾒が⼀致しているが、LF 成分お よび LF / HF に関する⾒解は定まっていない(Moak et al., 2009; Houle et al., 1999)。⼼臓の⾃律神経⽀配は交感神経機能の亢進時には副交感神経の機能抑制、 副交感神経の機能亢進時においては交感神経の機能抑制が起こる拮抗⽀配が⽣ じるとされているが、⽪膚・⽪下組織刺激、呼気時、座位での鍼刺激によって交 感神経、副交感神経の双⽅が亢進することが報告されている(⻄條, 2013)。本 研究の LF / HF では、鍼刺激の場合のみ刺激中、刺激後には刺激前と⽐較して 機能亢進の傾向がみられたが、⼼臓副交感神経の機能亢進時における⼼臓交感 神経の機能測定評価が今後の課題である。 また、「浅刺、呼気時、座位」の鍼刺激による反応については、⽴位体前屈に 及ぼす影響(森ら, 1999)、局所反応と全⾝反応(森ら, 2000)について報告されている。各刺激は⼿関節から近位部の外関⽳にある局所刺激であるにもかかわ らず、反応として⾝体柔軟性機能の指標である FFD が亢進した。⾝体柔軟性機 能は、下腿部、⼤腿部、背部の筋組織のみならず、⾜関節、膝関節、股関節、脊 椎の各関節など複数の組織が統合することにより成⽴する機能の総称である。 このことは、呼気と同期させた本研究の⽪膚・⽪下組織刺激が⼼臓⾃律神経への 相乗効果、神経回路網への時間的加重を⽰す反応であり、⽪膚刺激と呼気刺激に よる求⼼性刺激が加算されて単⼀の⽪膚刺激以上の全⾝反応が惹起されたこと が推察され、ルードによる感覚受容器への⼊⼒が正常な運動出⼒として促通す ることも考えられる。 ⾎圧に関しては、収縮期⾎圧および拡張期⾎圧ともに全ての⽪膚刺激におい て、有意な変化は認められなかった。鍼刺激は⿇酔下の正常ラットでは⾎圧に 効果がなく、⾎圧の病的状態では正常化することが報告されている(Li et al., 1983)。⼀⽅、⿇酔下の正常なラットに対しては、⽪膚でなく筋への刺激が⾎ 圧低下に影響を及ぼし、その原因は鍼刺激が腹部臓器の⾎管を⽀配する交感神 経活動を低下させることであると報告されている(Ohsawa et al., 1995)。ヒト を対象とした本態性⾎圧に関する鍼刺激においては、前脛⾻筋起始部に近い⾜ 三⾥⽳、後脛⾻筋の三陰交⽳による鍼通電の循環動態の報告がある(吉川, 1997)が、筋への鍼刺激による⼼臓交感神経の抑制による⾎圧動態への影響を観察した報告である。⽪膚・⽪下組織を刺激とする⼼臓副交感神経を機能亢進 させる本研究の⼿法は、⼼臓関連経⽳へ筋まで刺⼊する⼼臓交感神経の機能抑 制を⽬的とした先⾏研究の⼿法とは異なり、⾎圧動態に影響を及ぼさなかった と考えられる。 本研究は、刷⽑による⽪膚刺激の⼼臓⾃律神経および⾝体柔軟性の変化につ いて鍼刺激および鍼管刺激との⽐較検討である。呼気に同期した刷⽑による⽪ 膚刺激が、鍼刺激および鍼管刺激と同様に⼼臓副交感神経を機能亢進させ⾝体 柔軟性機能を⾼めた結果は、健康の維持・増進およびスポーツ現場におけるウ ォーミングアップや疲労回復を⽬的とするコンディショニングの⼿法として応 ⽤できる可能性が⽰唆された。

4-5 結語

呼気に同期させた座位姿勢での刷⽑刺激は、鍼刺激および鍼管刺激と同様に ⼼臓副交感神経および⾝体柔軟性に影響を及ぼすことが明らかとなった。

第Ⅴ章 総括

伝統医療の⼀つである鍼治療は、WHO による経⽳部位国際標準化会議にお いて、経⽳の名称と部位が 2006 年 11 ⽉に全 361 ⽳で統⼀した。鍼刺激の座標 が定められたことは、研究の国際⽐較ならびに臨床⽐較において極めて重要で ある。しかし、伝統医療の⼀つである臨床鍼灸は経験に基づく定性的臨床評価 が⼀般的であり、現代医学に基づく定量的評価の対極に位置付けられている。 したがって、鍼治療を発展させるには、鍼の⽣理学的基礎研究、臨床応⽤へつ なげる橋渡し研究、1 例研究を含めた臨床研究による裏付けが必要となる。そこで本論⽂は、鍼治療の臨床応⽤ならびに疾病予防の観点から⽇常⽣活の中で ⾏える健康管理へつなげる橋渡し研究として、⽪膚組織および⽪膚・⽪下組織 への軽微な刺激が⼼臓⾃律神経機能へ及ぼす影響について第Ⅱ章、第Ⅲ章、第 Ⅳ章の三つの視点からまとめた。 第Ⅱ章では「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」が体性−⾃律神経反射 に及ぼす持続的影響について、同鍼刺激後の臥位姿勢および⽴位姿勢による姿 勢の相違について検討した。この鍼刺激は、⽪下組織 3 ㎜までの鍼刺激を呼気 のタイミングで⾏うことにより⼼臓副交感神経の機能を相乗的に亢進させ、臥 位姿勢よりも⼼臓交感神経機能が亢進する座位姿勢による⼿法によって、⼼臓 ⾃律神経の機能全体が亢進することを期待した⼿法である。同刺激後、臥位姿71 勢を保持させた場合は⼼臓副交感神経が徐々に機能亢進し、刺激前から 35 分 間まで増⼤する結果を得た。先⾏研究では臥位姿勢は副交感神経が機能亢進す ることが報告されていることから(Sanhita, 2014)、同鍼刺激直後からの臥位 姿勢の保持は⼼臓副交感神経を相乗的に機能亢進させることが⽰唆されたと考 えられる。また、同刺激後の臥位姿勢は、5~25 分間において⼼臓交感神経の 有意な機能亢進を確認した。したがって、同刺鍼法は⼼臓副交感神経ならびに ⼼臓交感神経の両者が相乗的に機能亢進することが⽰唆され、⻄條が⼼拍数で 評価した結果と同等の結果を得た。また、臨床上においては、鍼刺激後に約 30 分間の臥位姿勢保持が⾝体の機能回復に重要であることが⽰唆された。 第Ⅲ章は、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」の鍼刺激を細指術と菅 散術で⽐較検討した。鍼刺激の基本的 17 刺鍼法の中で⼆番⽬に弱い刺激とさ れる細指術ならびに最も弱い刺激とされる管散術に着⽬し、⽪下組織 3 ㎜まで の鍼刺激である細指術を応⽤した「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」お よび鍼を⾝体に刺⼊しない鍼管での⽪膚刺激のみを⾏う管散術を応⽤した「⽪ 膚、呼気時、座位刺激法」が⼼臓⾃律神経機能に及ぼす影響を⽐較検討した。 鍼管による「⽪膚、呼気時、座位刺激法」は、体性−⾃律神経反射として⼼臓 副交感神経の即時反応を⽰し、有意な機能亢進が認められた。また、⼼臓交感 神経は有意な機能抑制が認められた。⼼臓副交感神経の機能亢進時には⼼臓交感神経が機能抑制し、⼼臓副交感神経および⼼臓交感神経が相反性に反応し、 ⻄條が⼼拍数で評価した結果とは異なった。鍼による⽪膚・⽪下組織刺激およ び鍼管での軽微な叩打による⽪膚刺激は、呼気と同期させることで相乗的に⼼ 臓副交感神経は機能亢進するが、同時に⼼臓交感神経の機能亢進は認められ ず、⼼臓⾃律神経全体が機能亢進することは即時反応として確認はできなかっ た。したがって、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」および「⽪膚、呼 気時、座位刺鍼法」は、体性−⾃律神経反射の即時反応として⼼臓副交感神経 と⼼臓交感神経が相反性、拮抗作⽤として機能することが明らかとなった。 第Ⅳ章は、異なる⽪膚刺激としての刷⽑による「⽪膚、呼気時、座位刺激 法」に着⽬し、鍼管を⽤いた軽微な叩打による「⽪膚、呼気時、座位刺激法」 ならびに「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」と⽐較検討を⾏った。 その結果、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」による⼼臓交感神経機 能の反応以外は、刷⽑刺激、鍼管刺激、鍼刺激の 3 ⼿法が共に同等の⾃律神経 反応を⽰した。各刺激は即時反応として⼼臓副交感神経が機能の亢進を認め、 ⾝体柔軟性においても機能が亢進した。⼀般に、⼼臓交感神経は⼼臓副交感神 経と拮抗性に相反作⽤として機能するが、鍼刺激における⼼臓交感神経の反応 は⼼臓副交感神経と同様に機能亢進の反応を⽰した。重要な点は、「⽪膚・⽪ 下組織、呼気時、座位刺鍼法」による⼼臓副交感神経の有意な機能亢進時に、⼼臓交感神経が機能亢進する可能性が含まれる結果を得たことである。鍼が⽪ 下組織に刺⼊することによる感覚受容器への刺激は、⽪膚表層への鍼管による 軽微な叩打および刷⽑による接触刺激とは異なる反応を起こすことが確認でき た。 結論として、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」は先⾏研究の結果と同 様に、⼼臓交感神経および⼼臓副交感神経が相乗的に機能亢進することが⽰唆 された。また、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」による⽪下 3 ㎜までの 軽微な鍼刺激だけでなく、鍼管刺激および刷⽑刺激における「⽪膚、呼気時、座 位刺激法」においても⼼臓副交感神経を機能亢進させ、⾝体柔軟性を機能亢進さ せることが明らかとなった。 ここで新たな課題が⽣じる結果となった。第Ⅱ章の結果は「⽪膚・⽪下組 織、呼気時、座位刺鍼法」の持続的臥位姿勢において、⼼臓副交感神経は刺激 直後から 35 分間にわたって有意な機能亢進が認められ、⼼臓交感神経は刺激 直後から 5 分後までは相反性に機能抑制を⽰したが、その後 20 分間は有意に 機能亢進が認められた。つまり、⼼臓⾃律神経⽀配が⼆重⽀配であり相反性、 拮抗⽀配である定説に反し、「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」では⼼ 臓⾃律神経全体が有意に機能亢進する結果を得た。しかし第Ⅲ章の結果では、 「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」および「⽪膚、呼気時、座位刺鍼法」の両者は、⼼臓交感神経および⼼臓副交感神経が相反性、拮抗作⽤として 機能していることが認められた。さらに第Ⅳ章の結果では、「⽪膚・⽪下組 織、呼気時、座位刺鍼法」による⼼臓副交感神経の有意な機能亢進および⼼臓 交感神経機能が亢進する傾向を確認した。 第Ⅱ章、第Ⅲ章、第Ⅳ章の結果における⼀部の差異については、以下の様に 考察する。「⽪膚・⽪下組織、呼気時、座位刺鍼法」による同等の刺激を複数 の被験者に⾏った反応ついては、著効、有効などの個⼈差が⽣じている。その 個体にとって適刺激であるか否か、あるいは期待した結果が得られなかった場 合、刺激の質と量の問題だけでなく、個体の機能的、器質的問題が関係すると 思われる。ある刺激に期待する効果が表出されない⽣理的、器質的状態である と事前に明らかであれば、期待する反応は起こらないことが刺激以前に理解可 能である。刺激に対する反応の相違を個⼈差とするならば、その個⼈差を⼼臓 ⾃律神経機能の側⾯から事前に把握することは、臨床上極めて重要である。こ のことに関して、熟練した鍼灸師は定性的評価に優れた経験的能⼒から患者の 状態による刺激を選択し、その経験の集積により個⼈的に臨床技術を向上させ ていたと推察するが、定性的評価を明治以降約 150 年間経過した現在において も主な評価法としていることが鍼灸の医・科学の発展を妨げている理由とも思 われる。したがって、刺激に対する反応が「著効・有効・無効もしくは悪化」に⼤別するならば、刺激の受け取り側である被験者もしくは患者の体調を事前 に把握することが重要であり、刺激に対する反応が異なることは容易に推測さ れる。 ⼼不全ステージ C から D に増悪した 1 例報告では、同鍼刺激に対して反応 しない原因が⼤動脈弁狭窄症による⼼臓の器質的異常であったことが発症後に 明らかとなった。刺激に対する反応が起こらない原因が⼼臓の器質的異常から 正常な⽣理的反応を⽰さなかった症例報告である。「⽪膚・⽪下組織、呼気 時、座位刺鍼法」および「⽪膚、呼気時、座位刺激法」においても⼼臓⾃律神 経に機能的変化が表れない、刺激の限界が存在することを⽰している。そこ で、鍼刺激もしくは⽪膚刺激が適刺激であるか否かを鑑別できる鍼灸師独⾃の ⼼臓⾃律神経検査が開発されるならば、被験者もしくは患者の体調を事前に把 握し、鍼刺激もしくは⽪膚刺激の効果を確認することも可能となる。鍼灸師が ⾮侵襲的で再現性があり評価指標として妥当な⼿法を構築することは、症状の 増悪を予防し、早期に実地医家に紹介することも可能となる。 今後の研究課題は、⼼臓⾃律神経機能による疾病有無のスクリーニング、⽇ 常の体調確認、スポーツ選⼿のコンディショニングもしくは鍼治療前後に関す る評価指標を構築することである。 ⼀⽅、⽪膚刺激が鍼刺激と同等の変化が起こる結果は、臨床上鍼不要論として⽪膚刺激のみで対応可能になるとは考えにくい。すなわち、接触鍼、⼩児鍼 と⾔われる⽪膚刺激は、江⼾時代に開発された⼿法であるが、虚弱者もしくは ⽣後から幼児に対して⾏われる、鍼を使⽤しない弱刺激として鍼刺激の範疇に 定義されている。乾布摩擦による⽪膚刺激が、⾎液成分による免疫機能が亢進 すること、および⽪膚刺激によるオキシトシンホルモンの増加などが報告され ていることが管散術の根拠となる報告と考えられる。また、本論⽂の被験者は 健常者であり、画像診断による器質的異常あるいは⾎液・尿検査など機能的異 常による基礎疾患もしくは服薬のある何らかの疾病をともなう患者を対象には していない。 また、治療の必要がない健常者の範疇である者でも、天候、⼈間関係、⾮⽇ 常的な⾝体活動などさまざまな理由により、筋緊張性の肩こり・腰痛が残存 し、⾝体の動きにくさを感じる⽅が多いことは国⺠⽣活基礎調査で報告されて いる。国⺠⽣活基礎調査における⽇本国⺠の 2 ⼤症状は肩こり・腰痛である が、こうした症状は器質的変化よりも⼀過性の⽣理的機能低下から⽣じる原因 不明の不定愁訴として⾃律神経機能に原因があると捉えられる場合も少なくな い。 本論⽂の結論は、鍼を使⽤しない「⽪膚、呼気時、座位刺激法」が、現代社 会における⽇常⽣活の様々なストレスから⽣じる⾃律神経の不安定ならびに筋緊張から⽣じる体調不良を解消する可能性を⽰唆している。そこで、具体的⼿ 法としては、「座位で、深呼吸をしながら呼気のタイミングで⼿を軽くなでる 程度の⽪膚刺激」により、⼼臓副交感神経の機能亢進および筋の柔軟性を亢進 させ、⽇常⽣活動作への改善に寄与する可能性が⽰唆された。本論⽂における ⼿法は、健康保持・増進に関する社会貢献として、誰でも、いつでも、どこで でも、気軽におこなえる有⽤な⼿段として期待できると思われる。

副論⽂

⼭下和彦、岡⽥ 明、⼭下久仁⼦、渡辺⼀志: 鍼刺激後の姿勢が⾃律神経機能に及ぼす影響 ⽇本健康⾏動科学. (2019). 17(2): 53-57.

⼭下和彦、岡⽥ 明、⼭下久仁⼦、渡辺⼀志: 鍼および鍼管の呼気時⽪膚刺激が⾃律神経機能に及ぼす影響 ⽇本健康⾏動科学. (2018). 17(1): 1-6.

⼭下和彦、岡⽥ 明、⼭下久仁⼦、渡辺⼀志: 呼気に同期した刷⽑による⽪膚刺激がヒト⾃律神経機能および⾝体 柔軟性機能に及ぼす影響―鍼刺激、鍼管刺激との⽐較― ⽇本⽣理⼈類学会. (2018). 23(4): 135-141.

本論⽂に直接関係する研究発表

⼭下和彦, ⻄條⼀⽌, ⼭本忠志, 中條 洋. (2011). 運動時の「浅刺、呼気時、 坐位」の刺鍼による⽣体への影響について. 体⼒医学 60(6) : 880.

⼭下和彦, ⻄條⼀⽌, ⼭本忠志, 中條 洋. (2012). 「浅刺、呼気時、坐位」に よる鍼刺激が持続性運動時の⽣体に及ぼす影響. 第 67 回体⼒医学会予稿集 219.

⼭下和彦, ⼭下久仁⼦, 岡⽥ 明, 井上 保, 渡辺⼀志. (2015). 浅刺、呼気時、 座位の鍼刺激がヒト⾃律神経機能応答に及ぼす影響. 第 70 回⽇本体⼒医学会 ⼤会予稿集 336.

⼭下和彦, ⼭下久仁⼦, 岡⽥ 明, 渡辺⼀志. (2016). 異なる⽪膚刺激が⾃律神 経機能に及ぼす影響−鍼刺激、鍼管刺激、刷⽑刺激−. ⽇本⽣理⼈類学会誌 21(1): 59.

⼭下和彦, 岡⽥ 明, ⼭下久仁⼦,渡辺⼀志. (2016). 呼気相を⽤いた⽪膚および ⽪下組織刺激が副交感神経機能に及ぼす影響. 体⼒医学第 71 回⽇本体⼒医学 ⼤会予稿集 188.

⼭下和彦, 岡⽥明, ⼭下久仁⼦, 渡辺⼀志. (2016). 異なる⽪膚刺激がヒト⾃律 神経機能応答に及ぼす影響. ⽇本健康⾏動科学会第 15 回学術⼤会抄録集 22.

⼭下和彦. ⼤動脈弁狭窄症による重度⼼不全に対する鍼治療の 1 例. (2017) 第 66 回(公社)全⽇本鍼灸学会抄録集 165. ⼭下和彦, 岡⽥明, ⼭下久仁⼦, 中井久純, 中條 洋, 弘原海剛, 渡邊完児, 横⼭ 久代, 渡辺⼀志. (2017). 深呼吸時の呼吸パターンと筋交感神経活動. 第 72 回⽇本体⼒医学⼤会予稿集 188.

Kazuhiko Yamashita, Akira Okada, kuniko Yamashita, Hitoshi Watanabe. (2018). Influence of different posture on autonomic nervous function after acupuncture. JPFSM, 7(6): 331.

⼭下和彦, 岡⽥ 明, ⼭下久仁⼦, 渡辺⼀志. (2019). 競技選⼿の⼼拍変動およ び深呼吸を⽤いたコンディショニング評価の試み. 第 74 回⽇本体⼒医学会⼤ 会予稿集 333.

⼭下和彦. (2019). 鍼灸治療における新たな評価法の試み −⼤動脈弁狭窄症を 有する腰椎椎間板ヘルニアの 1 例について−. 第 38 回(公社)全⽇本鍼灸学会 関東⽀部学術集会プログラム, 13.  本論⽂の参考研究論⽂

Hidetoshi Mori, Tim Hideaki Tanaka, Hiroshi Kuge, Eiichi Taniwaki, Ken Sasaki, Kazuhiko Yamashita, Hiroshi Nakajo, Yuya Kikuchi. (2010). Is there any difference in human pupillary reaction when different acupuncture points are stimulated? Acupuncture in medicine. 28(1): 21-24.

Hidetoshi Mori, Hiroshi Kuge, Tim Hideaki Tanaka, Eiichi Taniwaki, Yuya Kikuchi, Hiroshi Nakajo, Kazuhiko Yamashita. (2012). Is there any difference in human pupillary reaction to acupuncture between light-and dark-adaptive conditions? Acupuncture in medicine. 30(2): 109-112.

⼭下和彦, 中條 洋, ⻄條⼀⽌. (2013). 瞬時⼼拍数を⽤いる⾼校⽣スポーツ選 ⼿の⾃律神経機能と鍼施術の効果について. ⾃律神経 50(2): 142.

中井久純, 井上 保, ⼭下和彦, 清⽔ミシェルアイズマン, 渡辺⼀志. (2018). ⽪ 膚への周期的微振動刺激が⾃律神経応答に及ぼす影響. 神⼾国際⼤学リハビ リテーション研究 9: 3-9.

⼭下和彦.(2020). 鍼灸師の新たな評価指標の試み―運動器疾患をともなう重 度⼼不全の 1 症例―. 全⽇本鍼灸学会誌 70(1): 57-65. 

 

引⽤⽂献

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本書は

深呼吸を見ながら自律神経を整える ことをまとめた書籍です。

 これまで研究されてきた実験、当院に来院された改善例です。

 

 正しい深呼吸自律神経機能を意識的に高められることから、条件さえ整えば、慢性疾患も改善します。

   

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