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山下整骨院・山下鍼灸院
体性-自律神経系 生活科学研究所
 

Institute of  Somatic Autonomic Nervous System Life Science

院長 山下和彦(博士: 生活科学/大阪市立大学)

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           呼吸性洞性不整脈 2
   RSA; respiratory sinus arrhythmia 2

2025年6月6日 更新

 心拍変動(HRV)は、心臓の働きと自律神経のバランスを反映する重要な指標です。HRVには異なる成分が含まれ、それぞれ異なる生理的メカニズムによって発生します。

 高周波成分(HF)は、迷走神経(副交感神経)の働きを示し、呼吸と密接に関連しています。脳幹が呼吸を調整することで、心拍の変動が生じます。特に、深呼吸による心拍変動が大きく変化するのはこの影響によるものです。

 一方で、HF成分の振幅は迷走神経活動と定量的な関係を持ちますが、呼吸の仕方によって変化するため、測定条件に注意が必要です。

 低周波成分(LF)は、交感神経の指標として用いられることがありますが、実際には迷走神経の影響を強く受けるため、交感神経の状態を正確に測る指標としては不確かです。

 現在の研究では、LFやLF/HF比が交感神経活動の評価に適しているという確実な根拠はないとされています。

 しかし、HRVは心筋梗塞による不整脈で亡くなるリスクを予測する上で重要な臨床指標と考えられており、特にウェアラブルデバイスを活用したHRV測定が注目されています。例えば、Apple WatchなどのスマートウォッチはHRVを測定し、ストレス管理や健康維持に役立てる技術が進化しています。

 今後の研究では、HRVのより正確な評価方法や、個人の健康管理への応用が期待されています。特に、AIや機械学習を活用したHRV解析が進んでおり、長期的な健康リスクの予測や個別化された健康アドバイスの提供が可能になると考えられています。

 心拍変動(HRV)は、心臓の拍動の微細な変化を示し、自律神経の働きを反映する重要な指標です。

 HRVの周波数解析では、高周波成分(HF:0.15Hz以上)と低周波成分(LF:0.04-0.15Hz)の2つの主要なピークが確認されます。これらの成分は、自律神経遮断剤の投与や心臓移植による神経切断の影響で消失するため、HRVの「ゆらぎ」は自律神経活動に由来すると考えられています。

 高周波成分(HF)

 HF成分は、呼吸性洞性不整脈(RSA)による心拍の変動を反映し、迷走神経(副交感神経)の活動と密接に関連しています。特に、呼吸数が**9回/分以上(0.15Hz以上)**のとき、迷走神経の働きが心拍変動に定量的に影響を与えます。

 低周波成分(LF)

 LF成分は、血圧変動のMayer波が圧受容体反射を介して心拍に影響を与えることで生じると考えられています。Mayer波は、呼吸周波数よりも低い周期の血圧変動を指し、その発生メカニズムは完全には解明されていません。しかし、交感神経の興奮による血管収縮反応が約5秒遅れて現れ、その結果、血圧に約10秒周期のゆらぎが生じることが示されています。

 呼吸とHRVの関係

 頸動脈洞や肺の伸展受容器も呼吸性洞性不整脈に影響を与えます。研究によると、1分間に6回(約10秒間隔)の呼吸が迷走神経機能を最大化する刺激となることが分かっています。この呼吸リズムは、副交感神経の活性を高め、リラックス効果を促進する可能性があります。

 感情とHRV

 HRVは、偏桃体や島皮質などの脳領域の影響を受け、喜怒哀楽などの感情によって変化することも知られています。ストレスや不安がHRVを低下させる一方で、リラックスやポジティブな感情はHRVを向上させることが報告されています。

 最近の研究では、HRVの解析にAIや機械学習を活用し、個人の健康状態やストレスレベルをより正確に評価する試みが進んでいます。特に、ウェアラブルデバイスを用いたHRV測定が普及し、日常的な健康管理に役立てられています。

 

 このように、HRVは自律神経のバランスや健康状態を把握する上で非常に重要な指標です。今後の研究によって、より精度の高いHRV解析や個別化された健康アドバイスの提供が期待されます。

 呼吸性洞性不整脈(RSA)は、呼吸と心臓の働きが連携する現象であり、その主な調整は脳幹で行われます。脳幹からの迷走神経の信号は、呼吸のタイミングによって変化し、吸気時には抑制され、呼気時には活発になります。また、肺の伸展受容体からの信号が影響を与え、吸気時には迷走神経の刺激が遮断されます。

 RSAが顕著になる条件

 RSAは、深呼吸や呼吸数の減少時に特に強く現れます。深呼吸をすると、吸気と呼気の間で肺の容量の変化が大きくなり、呼吸数が減ると呼気の時間が長くなります。この結果、肺のガス交換の効率が変化し、RSAがより顕著になります。

 安静時や睡眠時のRSAの役割

 安静時や睡眠時には、迷走神経の働きが強まり、心拍数が低下します。このときRSAも強くなり、吸気時に心拍数が減少することで、エネルギー消費を抑えながら効率的な循環を維持する役割を果たします。つまり、RSAは体が休息している間に、心臓の負担を軽減しながら適切なガス交換を維持するための重要な仕組みなのです。

 このように、RSAは呼吸と心臓の働きを調整し、体のエネルギーを効率的に使うための重要なメカニズムです。最近の研究では、RSAの変化がストレスや健康状態の指標として活用できる可能性も注目されています。

 心拍変動(HRV)の高周波成分(HF)を用いた迷走神経活動の評価には、いくつかの課題が指摘されています。HF成分は心臓の迷走神経活動を反映すると考えられていますが、その振幅を単純に迷走神経の働きの指標とするには注意が必要です。以下の4つの主要な問題点があります。

 1. 呼吸の影響

 HF成分は、呼吸による心臓迷走神経活動の変動を反映します。そのため、HF成分の振幅は吸気時と呼気時の迷走神経活動の差を示します。しかし、この差が迷走神経活動の平均レベルを正確に反映するためには、吸気時の迷走神経活動が完全に抑制される必要があります。
また、深い呼吸では肺の伸展が強まり、吸気時の迷走神経刺激が完全に遮断されるため、HF成分の振幅が増大します。一方で、浅い呼吸では吸気時の迷走神経活動が完全に遮断されず、HF成分の振幅と迷走神経活動の関係が崩れる可能性があります。

 2. 呼吸数の影響

 HF成分の振幅は呼吸数が増加すると減少します。これは、呼吸数が増えることで心臓迷走神経活動の変化にR-R間隔の変化が追いつかなくなるためと考えられています。
このため、HF成分の振幅を迷走神経活動の指標として用いる際には、呼吸数と1回換気量の影響を考慮する必要があります。

 3. 圧受容体刺激の影響

 Goldbergerらの研究によると、圧受容体刺激によって迷走神経活動が高まると、HF成分の振幅が逆に減少することが報告されています。

 例えば、Phenylephrine(血圧を上昇させる薬)を静脈投与すると、心拍数は低下するものの、HF成分の反応には個体差があり、一部のケースでは逆に減少することが確認されました。
 これは、迷走神経活動が一定以上高まると、吸気時の迷走神経活動が遮断されなくなり、呼気時だけでなく吸気時にも迷走神経活動が増加するため、HF成分の振幅が減少する可能性を示唆しています。

 4. 心拍変動と自律神経活動の関係

 心拍変動を用いた自律神経活動の評価には、洞結節の発火頻度を考慮する必要があります。
自律神経中枢の活動と心拍変動の間には、以下のような複数の要因が関与しています:

  • 神経伝達経路(一次・二次ニューロン、神経線維)
  • シナプスの影響
  • ペースメーカー細胞の受容体と細胞内情報伝達
  • イオンチャネルと細胞内外のpH
  • イオン環境
  • 房室伝導時間の影響

 特に、疾患や薬物の影響を受けた心拍変動では、これらの要因が変化するため、自律神経活動の評価には慎重な解釈が必要です。

 また、非正常洞調律の状態では、これらの知見が適用できないため、心拍変動を用いた自律神経評価には限界があることも考慮する必要があります。 

 最新の研究動向

 最近の研究では、AIや機械学習を活用したHRV解析が進んでおり、迷走神経活動のより正確な評価が可能になると期待されています。また、ウェアラブルデバイスによるHRV測定が普及し、個人の健康管理やストレス評価に活用されるケースが増えています。

 このように、HF成分を用いた迷走神経活動の評価には多くの課題がありますが、今後の研究によってより精度の高い解析方法が確立されることが期待されています。

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