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山下整骨院・山下鍼灸院
体性-自律神経系 生活科学研究所
Institute of Somatic Autonomic Nervous System Life Science
院長 山下和彦(博士: 生活科学/大阪市立大学)
練馬区豊玉北4ー2ー12 AM9:30~PM6:00(月~金;土・日、祝祭日は要相談)
2025年3月25日 更新
なぜ、鍼灸が血圧降下に有効か?
心臓の動き、血管の動きは、心身を無意識に調整する自律神経支配です。鍼灸、手技、運動は自律神経機能の改善に有効であることが世界中の多数の論文で明らかになっています。
あとは、個人の症状に適切な刺激を取捨選択できるどうかの臨床能力です。
血圧のメカニズムは
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
心拍出量=1回拍出量×心拍数
1.1回拍出量:1回に心臓から送り出す血液量
2.心拍数:1分間の心臓の鼓動
3.末梢血管抵抗:血管の硬さ
上記3項目に質・量・頻度・種類に関して、どのような刺激を加えるかが治療方法になります。
人体の血液量は体重の約8%、1/13は水分と言われます。体重が重いとは水分量が多いということになります。
肥満で血液量が多く、心臓から血液の送り出される量が多く、血管が硬ければ(動脈硬化)血圧は上がります。
動脈硬化、脂質異常症(脂っこい血液)、糖尿病(蜂蜜の様な血液)、腎不全(血液量の調節が正常でない)、心不全(ポンプ作用が正常でない)は、血液が流れにくいので血圧を上げなければ身体の毛細血管まで血液が送れないという訳です。
鍼の降圧効果は多数の研究結果があります。
当院では「鍼による高血圧症への減薬効果について」
患者さんの降圧効果を日本自律神経学会で報告してます。
高血圧は、糖尿病、腎不全、心不全と合併することがあります。また、本態性高血圧といって、原因不明の高血圧もあります。いずれにせよ、自律神経系疾患ですから、全て鍼灸の対象です。年齢も全てが対象です。
以下、特別な情報を加筆、ご提供します。
全身の血液量が多ければ多いほど、全身に血液を送る心臓は圧力を高くしなければなりません。したがって血液量は少ない方が心臓への負担は少なくなります。ヒトの血液量は体重の約1/13(約8%)です。つまり「肥満=体液量が多い」ことになります。
他方、ヒトは正常ではPH7.4の弱アルカリ性を保持していますが、塩分の摂取量が多いと血液と細胞内体液を薄めるために水分摂取が必要になり全身体液量が増加します。この状況では心臓に負担がかかるので、腎臓がナトリウム排泄の為に最大限の努力を続けますが、その腎臓の破綻が人工透析によって、1日3~4時間かけて血液を浄化させなければならないことになります。
そこで、塩分控えめが体液量(血液量+細胞組織の水分量)の減少から体重減となり、腎臓に負担をかけないことに連動し、結果として血圧減少となります。
さて、全身に多くの血液を送る心拍出量は、1回拍出量と心拍数に分けて考えます。1回拍出量が多いことは圧力を上げることになります。
また、心拍数を多くして全身への血液供給量を増やしていきます。この反応は、無意識の内に自律神経機能によって調整されます。
したがって、自律神経の交感神経機能が亢進すると心筋機能が亢進し、心拍数が上昇することで高血圧になることがあります。
心拍数の上昇を抑える薬がβ遮断薬です。血管にも自律神経作用によって「縮んだり、広がったり」します。
したがって、末梢血管抵抗も自律神経調節で行われています。
鍼刺激で高血圧が改善されるのは、鍼刺激が自律神経調節により、内臓機能を改善させるためです。
一般に、高血圧になる理由は以下の組合せです。
1.肥満による体液量の増加
2.腎臓の(塩分)ナトリウム排泄能の低下
3.レニン・アンジオテンシン系の亢進
・血圧が低いと腎臓からレニンが放出しアンジオテンシンⅠを生成
・アンジオテンシンⅠはアンジオテンシン変換酵素でアンジオテンシン
Ⅱを生成し、小動脈を収縮させて血圧を上げる。アンジオテンシンⅡは腎臓からアルドステロンを放出して塩分と水分を保持させます。
・ACE阻害薬はアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換するこ
とを阻害します。
・レニン・アンジオテンシン系の機能亢進は高血圧となり、ACE阻害薬
は高血圧治療薬となる。
4.血管収縮物質の増加
5.血管拡張物質の減少
6.血管平滑筋細胞膜におけるナトリウムイオンを細胞内
外に輸送する役目のトランスポータの異常
血管内皮細胞の機能障害であれば、鍼刺激による改善は可能であると思われます。
高血圧治療は、単に薬物治療を選択するのでなく、副作用回避のため、運動と食事の改善が第一選択です。
美味しいモノには毒があります。
美味しいものを食べて、運動しなければ肥満・メタボリックシンドロームになり、身体の様々な場所に破綻が来ます。わかっちゃいるけど、やめられないのが人情ですが、相当の負担が来ても人間の心身は我慢できてしまい、無症状でいられるものなので、一度症状が出現すると改善するには時間がかかるモノです。
鍼治療は改善の選択の一つです。運動、食事との併用による総合的なアプローチの継続が可能であれば、なお改善に早くなるでしょう。
鍼刺激は、自律神経機能改善により高血圧治療に貢献できるのです。
私が全日本鍼灸学会、日本自律神経学会で発表した症例研究は、15年間、3剤の服薬を継続していたにもかかわらず、週1回の鍼治療を1年間継続することで服薬半減しても症状良好になった症例報告を致しました。
9週間でβ遮断薬を終了しても症状良好で、Ca拮抗薬ARBは薬剤の半減にもかかわらず、症状良好を維持しています。と言うことは、鍼の物理刺激が、Ca拮抗薬、ARBと同等な作用を持つ可能性があると言うことです。
つまり、鍼刺激による細胞間のイオン交換、イオンチャネル、細胞間の神経伝達物質などへの影響が少なからず存在することは確かだと考えられます。現状では、この課題について薬理的実験による解決は出来ておりません。
これまで、高血圧症で当院に来院した方の特徴
1. 本態性高血圧
2. 長期のクスリ服用
3. クスリと併用して他の方法を試したいとの希望あり
特に、10年以上の服薬治療の継続していた方で
症状良好になった方は以下の項目の自己管理を改善
かつ
当院に継続来院
1. 運動不足による体重過多(体脂肪率が30%以上)
2. 甘い物、味の濃い物、アルコールをよく口にする
3. 仕事もしくは家庭で日常的精神ストレスを感じている
心電図と呼吸曲線から心臓自律神経機能を確認します
交感神経機能の高まり、副交感神経機能の低下、もしくは自律神経機能の全体のバランスが悪いことが推定できるので、どの程度の機能低下であるかを確認します。
身体も硬く、柔軟性が無い場合と、その真逆の柔軟性はあるけれども筋力・筋量が低下傾向の場合、身体調整の選択は「鍼灸、手技、運動、電気の組合せ」を患者さんの好みを考慮して施術します。