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山下整骨院・山下鍼灸院
体性-自律神経系 生活科学研究所
 

Institute of  Somatic Autonomic Nervous System Life Science

院長 山下和彦 (博士: 生活科学)

大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 客員准教授

体育学学士、教育学修士、柔道整復師、鍼灸師、健康運動指導士

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          深呼吸と自律神経Ⅱ

2024年1月9日 更新

 当院は長期慢性症状の方、医科受診を併用している方であっても、鍼灸、手技、運動、電気による物理刺激の組合せにより、オーダーメードの治療、もしくは調整となります。その決定は心電図と呼吸曲線の測定と観察によって、どんな刺激により心拍数が減少し、呼吸が大きく深くなっていくかで評価していきます。

 ヒトは不快感、痛みで心拍数は増加し、呼吸は浅くなります。しかし、心地よい刺激は心拍数が減少し、呼吸が深く大きくなって、治療中に寝てしまう方も多くいます。

 

 パニック障害で心療内科に通院している方が当院との併用で改善する理由がお解りいただけたと思います。

ジェットコースターが苦手な人は心拍数が増加するが
得意な特異な人・好きな人は心拍数が減少する。

 心臓自律神経は心電図を約5分間測定することによって、特徴のある周波数領域から交感神経成分副交感神経成分に分類できることが明らかになりました。

 HF(high frequency: 0.15~0.4Hz)は心臓迷走神経を反映していることが明らかになっているので、副交感神経を表わします。

 1分間の呼吸周期にすると9~24回/分(0.15Hz×60秒~0.4×60秒)の呼吸回数は副交感神経機能を反映している呼吸となります

 LF(low frequency: 0.04~0.15Hz)は動脈圧受容器反射を反映した交感神経成分と副交感神経成分の両者が混在していることが解っています。

 1分間の呼吸周期にすると2.4~9回/分(0.04×60秒∼0.15×60秒)の呼吸回数は、心臓自律神経全体の機能を反映しています。

 

 ここで重要なことはLFに含まれる副交感神経成分とHFの副交感神経成分は別物であるということです。HFの副交感神経とは心臓迷走神経のみを反映していますが、LFの副交感神経成分とは圧受容器反射における副交感神経成分を修飾しているということです。

 2010年位までは交感神経=LF、副交感神経=HF

という報告が世界の論文報告で用いられていました。

 

2020年頃では

交感神経=LF(交感神経・副交感神経)÷HF(副交感神経)

を前提にした臨床報告・実験報告されていました。

 

しかし、現在では、

LF/HFが交感神経であると報告する論文はありません。

 

 LFは動脈圧受容器における自律神経全体を表し、HFは迷走神経、つまり心臓副交感神経を表わしているというのが世界の標準理解です。

 近年の自律神経研究において、LF/HFが交感神経の指標として多くの論文がありますが、現在ではLF/HFが交感神経機能を代表とする根拠となる論文がありません。

 LF成分とHF成分による自律神経機能の差は、心電図における周波数特性の差に起因します。心臓迷走神経は0Hzから0.5Hz付近までの電気的変動を伝達するのに対し、心臓交感神経は0Hzから0.15Hzまでの変動しか伝達できません。

 つまり、迷走神経活動の変動は高い周波数までの心周期に反映されますが、交感神経活動の変動は、たとえそれが高い周波数の変動を含んでいても、0.15Hz以下のゆっくりした変動だけが心周期の変動として現れます。

 LF成分は交感神経と迷走神経の両者が含まれていますがHF成分は迷走神経しか含まれていません。

 

 結果的に、LFの副交感神経成分は動脈圧受容器由来の副交感神経成分ですからHFの迷走神経とは異なる副交感神経成分です。したがって、単純にLF/HFの割り算をすれば交感神経を代表することが出来ないことが解ります。

 HFは呼吸周期一回換気量に影響を受けます。

 言い方を変えれば、ゆっくりとした呼吸(1~9回/分)1回換気量を出来る限り大きくする呼吸であれば、LF領域による副交感神経成分を十分に機能させることが可能です。

 

 意図的に、大きく肺に吸い込んだ空気を呼気時にゆったりと(りきみ無く)吐き出せば、心拍数は減少し、心身を落ち着かせることが可能となります。

 HFは0.15~0.40Hzの周波数領域ですから、1分間に9~24回の呼吸数になります。9~24回/分の呼吸数で1回換気量が大きいほど呼気時に生じる心拍数は減少し、この時には迷走神経機能(副交感神経機能)が機能亢進しています。

心拍数は呼吸周期、1回換気量に深い関係性があります

 呼吸性洞性不整脈(吸気時に心拍数が増加し、呼気時に心拍数が減少する)の現象の大きさ、特に呼気時による心拍数の減少は副交感神経機能の亢進により生じますが、呼吸周期によって、どこに存在する迷走神経機能を亢進させる受容体(神経センサー)が機能しているかは異なります。

早野順一郎博士(名古屋市立大学名誉教授)の引用
自律神経遮断剤による心拍変動の変化

Proparanolol(0.2mg/kg)を投与しても安静時の心拍変動や
そのパワースペクトルは殆ど変化しないが、
atropine(0.04mg/kg)を投与すると、LF成分とHF成分は共に
ほぼ消失する。

 

深呼吸の妙

上記プロトコルは、「安静臥位、自由な深呼吸5回、安静臥位、3秒吸気・3秒呼気の10回1分間の統制呼吸」

 55歳男性の安静臥位                 最初の2分間の平均HRは68.2±1.25bpm。         深呼吸5回HRは吸気時67.6~呼気時50.4bpmで17.2bpmの差       この深呼吸に要した時間は1分間以上になるためLF領域です。                したがって、この呼気時によるHR減少は理論上は動脈圧受容器の副交感神経成分による現象と考えられます。

 次に、安静臥位約1分間を空けて、1回換気量を出来る限り大きくして吸気3秒間、呼気3秒間での呼吸統制による1分間で10回の深呼吸を行った場合は、               吸気時70.8~呼気時54.6bpmで16.2bpmの差        この呼気時によるHRの減少は、迷走神経由来の減少です。

 

 呼吸周期により、HR減少は純粋な迷走神経由来の場合とLFの副交感神経成分由来の場合があることになります。

 

 しかし、筑波技術短期大学 西條一止名誉教授の実験では、異なる見解です。

Atropine投与による深呼吸では、瞬時深呼吸に変化が生じないため、呼吸は迷走神経由来であるとの結論です。

西條一止博士からの引用
深呼吸と心拍変動

吸気時には心拍数の増加、呼気時には心拍数の減少が起こる現象を呼吸性洞性不整脈(Respiratory sinus arrethmia)という。上段は深呼吸によるRSAが生じているがアトロピンによる副交感神経を遮断すると深呼吸によるRSAが消失

 私の結論は

ゆったりした深呼吸(1回換気量は大きくする)は

1. 呼気相を吸気相よりやや長い時間を使っておこなう

2. おなかを膨らませ、おなかを凹ます(横隔膜を使う)

3. 力みが無いようにゆっくり息を吐く

と、呼気相の心拍数は、より一層減少する。この心拍数の減少は、動脈圧受容器反射から副交感神経成分が十分に機能亢進することによる結果であり、筋緊張が可能な限り消失させるリラクゼーションが期待できると考えられます。

本書は

深呼吸を見ながら自律神経を整える ことをまとめた書籍です。

これまで進めてきた研究と実践の結果を改善例として掲載しています。

 

正しい深呼吸自律神経機能を意識的に高められることから、条件さえ整えば、慢性疾患も改善に方向付けます

   

 これまでに無い

深呼吸・自律神経の書籍です

2023年7月21日出版

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