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山下整骨院・山下鍼灸院
体性-自律神経系 生活科学研究所
Institute of Somatic Autonomic Nervous System Life Science
院長 山下和彦(博士: 生活科学/大阪市立大学)
練馬区豊玉北4ー2ー12 AM9:30~PM6:00(月~金;土・日、祝祭日は要相談)
私が兵庫教育大学大学院修士課程で学ぶ1年目、指導教官で循環器内科の医師から「高所登山が身体に及ぼす影響」に関する基礎研究に参加し、ホルタ―心電計(24時間継続測定可能なコンパクト心電計)を装着して、1週間のネパール・チョモランマ(エベレスト)トレッキングへ行くように言われた時のお話です。
航空機チケットは4週間有効だったので、私は2週間の実験期間終了後、実在の人物だったブッダの生誕地・修行地・悟りの地など、ゆかりの地に行ってみたいと思ったのです。
私は母にこの計画を話したところ、やはり心配だったようです。母は奈良の薬師寺で当時の館長であった高田後胤館長との御縁があり、東京五反田の薬師寺別館に隔月一回おこなわれる館長さんのお説法を拝聴していました。
そこで、私のことを高田後胤館長に相談したそうです。すると「今、薬師寺副館長の安井龍洞がカルカッタ大学の博士課程で学んでいるので、何か困ったことがあったら彼のところに行けば良いでしょう」と言われたことを母から告げられました。しかし、デリーからカルカッタは直線距離で約1300㎞、東京から愛媛県松山市の往復距離に匹敵します。携帯電話もない時代です。「電話もすぐに通じないだろうし、連絡どころか会えるわけないよ。」と私は母親に話しました。
さて、実験も終わってネパールのポカラから朝4時半にバスで出発し、目指すはインド・デリーです。荷物をバスの天井にくくり付け、最後尾しかない空席に座りました。何故、空席が最後尾にしかなかったのかはバスが発車してすぐにわかりました。舗装道路でない凸凹の道を走り始めた途端に身体全体が宙に浮き、頭はバスの天井に打ち付けられたのです。頭の激痛より、この先8時間以上もこの状態が続くのかと思うと、無事にデリーに着くのだろうかと血の気が引いて行ったことを今でも覚えています。
案の定、途中でパンクです。いくら待てども出発しません。言葉も十分理解できず、待つしかありません。結局、デリー着は20時近くでした。今から35年ほど前の話です。中心都市ニューデリーでも東京の夜とは比較にならないほど暗く、早くホテルに着いて安心したいという思いでした。
ホテルの予約はしていません。海外旅行ガイドの「地球の歩き方」を片手に、決して治安が良いとは思えないうす暗い通りを、日本人が多く宿泊していると言われる安宿へ急ぎました。やっとのことでホテルに着き、宿泊を希望すると満室だと断られたのです。頭の中は真っ白です。そこで、この時間に出されても私も困るとロビーで一晩、ごろ寝でよいからどこででも泊めてもらえないかと必死に頼みました。すると、奥から何やら聞き覚えのある名前が耳に入ってきたのです。
「安井さん。遠くカルカッタから来られて大変でしたね。お疲れになったでしょ。」
会話の方へ目を向けると袈裟を羽織ったお坊様とホテルのオーナーらしき方が話をしているではありませんか。私は引き寄せられるようにそのお坊様の前に歩み寄り「突然にすみません。あなた様は安井龍洞様ですか」と尋ねると「はい、私は安井ですが、何か?」と言われるのです。
そこで『ブッダゆかりの地を行く私を心配して、母が高田後胤館長にご相談し、困ったときには安井龍洞様に相談すれば良いとアドバイスを受けたこと。しかし、会える訳がないと私が母に話したこと。』を伝え、『こんな偶然があるものなんですね。』と話したのです。
すると、一瞬の沈黙の後、安井龍洞様は『この世の中に偶然というものはありません。あなたを思うお母様のお心が私をここへ呼び寄せたのでしょう。』と、私に合掌されるのです。心が揺さぶられ、自然と私の眼から涙があふれてきました。
現在、地球上には約80億人が生活しています。生きている間に話のできる人は限られています。良くも悪くも、出会いで運命は変わります。よき出会いを。しかしながら、私のこの体験から、出会いには何か意味があるのではないかと考えるようになりました。出会いは良くも悪くも、自分の受け取り方一つで自分を成長させて頂けるものと思うようになりました。
まだお会いしていなかったあなた、
次はあなたが良くなる番です。